えんぴつの夢 子どもの感性つまった1冊 サイロ700号記念
十勝管内の小・中学生の詩を掲載する月刊誌「サイロ」の700号到達を記念して制作された詩画集「えんぴつの夢」が人気だ。全国各地から問い合わせも多く、発行から約1カ月で残部は約100部に。601号以降、サイロの表紙絵を手掛ける鹿追町在住の画家真野正美さん(60)の作品と、子どもたちのあふれる感性が詰まり、反響を広げている。
「えんぴつの夢」は、サイロを発行するNPO法人小田豊四郎記念基金「サイロの会」(杉森繁樹代表)が1000部制作した。2010年の601号以降の掲載作品から選んだ88編の詩と、42枚の真野さんの絵が、春夏秋冬の4部に分かれて収まっている。
タイトルは、鉛筆の視点に立ち、鉛筆が使われ短くなることで子どもの成長を感じさせるという中学生の作品から取った。各章のタイトルも詩の一部から抜粋し、子どもたちが生んだ言葉で紡がれている。故坂本直行の絵に変わり、8年前から表紙を彩る真野さんの水彩画も、四季折々の北海道の原風景を描き、「温かみや郷愁を感じさせる」と好評だ。
10月の発行後、多くの問い合わせが同会にあり、杉森代表(72)は「全国的に注目され、うれしい。長年のサイロの歴史と、子どもの持つ純粋さがあってこそ」。「サイロは十勝で育まれた文化だと思っている。この価値ある文化が次の世代へと受け継がれてほしい」と話している。
えんぴつの-は六花亭帯広本店(帯広市西2南9)などで1部2000円で販売しているほか、帯広市図書館でも閲覧できる。増刷の予定はないという。問い合わせは同会(0155・24・6655)へ。
「サイロ」は六花亭製菓(帯広)創業者の故小田豊四郎氏が1960年に創刊。子どもたちから募集した詩を毎月掲載し、今年5月に700号に到達した。全国的にも子どもの詩に特化した月刊誌は例がなく、一度も途切れずに続いている。(牧内奏)