十勝発展に貢献、88の人物紹介 とかち史談会が出版
郷土史を伝える「とかち史談会」(上野敏郎代表)は、十勝開拓に貢献した88人に焦点を当てた書籍「十勝を拓(ひら)いた人々」を発行した。北海道の名付け親でアイヌ政策に執着した松浦武四郎の歩みなどが紹介されている。
同会が昨年出版した「とかち人物歴史館」の続編に当たる。北海道命名150年を記念した取り組みで、郷土史に詳しい嶺野侑さん(87)=元帯広市議会議長=が執筆した。
今回は、管内19市町村や経済、教育・文化、医療の発展に尽くした88人を紹介。松浦武四郎の他、晩成社を率いて開拓に尽力した依田勉三、十勝経済界の草分け的存在の高倉安次郎などを取り上げた。
嶺野さんの思い入れが強いのは、十勝監獄の建設地を帯広の緑ケ丘一帯に決めた釧路集治監典獄の大井上輝前(おおいのうえ・てるちか)。監獄建設で道路整備や道の出先機関進出、学校設置などが加速したとする。
嶺野さんは「監獄向け御用商人などが移住し、本格的に開拓者が入ってきた。功績のあった人物の歴史は欠落しているので、今後も掘り起こしたい」と話す。
上野代表(71)は「地域の歴史に気付くことができる本。十勝の歴史と今をつなげるため、もう1冊出版したい」と構想を示す。
500部作製。3000円の協力金を納めた人に贈呈する。問い合わせは同会事務局(0155・23・7604、帯広葵学園)へ。(池谷智仁)