牛赤身肉の画像解析研究で学会最高位受賞 帯畜大の後藤さん
帯広畜産大学大学院畜産学研究科修士課程1年の後藤弥子さん(22)が、8月にマレーシアで開かれた「アジア大洋州畜産会議」の学生発表部門で最高位の優秀賞を受けた。オーストラリア産赤身肉の正確な画像解析と、格付け推定方法の検証が評価された。
会議では378題のポスター発表が行われ、8人が優秀賞に輝いた。
畜産大国のオーストラリアは年間約800万頭の牛のと畜と食肉格付けが行われている。これは日本の約8倍で、オーストラリアは効率化や客観性を確保するため、自動格付けシステム導入を目指している。
日本では帯畜大の口田圭吾教授(53)らが一般社団法人「ミート・イメージジャパン(MIJ)」を設立し、画像解析による食肉評価法の確立に取り組んでいる。ミラー型撮影装置を用い、枝肉横断面と高精細画像から画像解析を実施。画像解析はロースの面積や筋肉と脂肪の割合、脂肪の細かさなどを判定するもので、霜降りの多い和牛では正確に判定できるようになっている。
ただ、脂肪交雑が少ない赤身肉では、正確な画像解析は難しかった。そこで後藤さんは、赤身肉のロースに特化して画像解析による評価の在り方を研究。日本とオーストラリアでは食肉格付けの基準が異なることから、割合が大きい脂肪交雑部分は除外するなどし、目視による評価に近づけることができた。
食肉格付け技術を競う大学対抗の競技会で世界大会に出場経験がある後藤さんは、「生産者と消費者をつなげ、肉牛生産の発展につながる研究をしたい」と話す。
後藤さんを指導する口田教授は「MIJでは赤身肉のデータ蓄積はなかった。後藤さんの研究で、幅広い枝肉に対応できるようになる」と期待している。
(池谷智仁)