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80代女性がイヌサフランによる食中毒で死亡 管内では初めて

有症者の自宅敷地内で確認されたイヌサフランの球根(帯広保健所提供)

 帯広保健所は23日、十勝管内で80代女性が有毒植物「イヌサフラン」による食中毒で14日に死亡したと発表した。自宅の庭に植えていたイヌサフランの球根をイモと間違い採取・調理して食べた。管内で住民が有毒植物の誤食で死亡するのは初めて。(奥野秀康)

 保健所によると、女性は12日に球根を食べ、下痢、腹痛などの症状が出た。13日に医療機関に救急搬送されたが、14日に死亡した。

 女性の自宅にイヌサフランが生えていたこと、同植物から有毒成分のコルヒチンが検出されたこと、症状がコルヒチンの中毒症状と一致したことから、イヌサフランの食中毒と断定した。

 十勝管内で有毒植物による食中毒が発生した事例は、1990年以降で2件。95年に音更町で「チョウセンアサガオ」を「モロヘイヤ」と誤って食べたケースと、15年に帯広市で「スイセン」を「ニラ」と誤って食べた事例だが、いずれも死亡には至っていない。

 帯広保健所は「イヌサフランはギョウジャニンニクとよく似た植物で春の山菜採りの季節に誤食が起きやすいが、この時期から秋に向かって球根が大きく膨らむ。今回のようにイモと取り違える危険もあるので、野草や球根を自分で採取して食べたり、人にあげたりするのは避けてほしい」(塚本久美子生活衛生課長)と強く呼び掛けている。

毒草の誤食死は管内初
保健所が注意喚起

 山菜採りなどで自ら採取した有毒植物を食用と間違えて誤って食べてしまい、食中毒が発生する事例は、過去にも道内で数多く起きている。

 全道では、過去6年間で10件の食中毒が発生し、5人が死亡した。この中には、今年4月に岩見沢市で「イヌサフラン」を「ギョウジャニンニク」と誤って食べた70代男性が死亡したケースも含まれる。

 イヌサフランは観葉植物として、園芸店などでも球根が売られている。ただ、誤って葉や球根を食べてしまうと、嘔吐(おうと)、下痢、皮膚の知覚減退、呼吸困難などの中毒症状が出る。重症の場合は死亡する場合もある。

 誤食は山菜採りに限らず、高齢者が自宅の庭に生えた「ギョウジャニンニクのようなもの」、「イモのようなもの」を採取して食べてしまうことでも起きている。

 厚生労働省や保健所は、有毒植物による食中毒を防止するため、「山野草や球根の採取はプロにまかせ、自身では『取らない』『食べない』『あげない』を徹底してほしい」と注意喚起している。


◆イヌサフランについて
自然毒のリスクプロファイル-厚生労働省公式ホームページ

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