左半身まひの神田さん 右手一本ゴルフ再び
患者会で勇気 「人生豊か」
【音更】脳出血の影響で左半身にまひがある音更町の会社員神田光幸さん(58)が、右手一本でゴルフの練習に励んでいる。昨年8月に発足した若年性脳梗塞患者と家族の会「ポラリス」(水口迅代表)への参加を通し、意欲を新たにした。4月に行われる同会のカフェイベントの企画に携わるなど、「いろいろな挑戦をすることで人生が豊かになっている」と笑顔を見せる。(松村智裕)
神田さんは3年前、単身赴任先の旭川市の社員寮で具合が悪くなり、目が覚めると体が動かなくなっていた。55歳の誕生日の前日だった。脳幹出血のため手術はできず、帯広の北斗病院で半年間入院。左半身まひのほか、泣く、笑うなどの感情調整がうまくいかない感情失禁、ろれつが回らない構音障害があり、「自分の状況が分かれば分かるほど落ち込んでいった」。
それでも、ポラリスに参加することで「似たような境遇の人と話し合えて、孤立感が薄らいだ」と気持ちが楽になった。活動的になり、左手はほとんど動かないものの大好きだったゴルフの再開を決意。知人の作業療法士に支援してもらうことにした。
脳出血で倒れるまでは20年ほどの競技歴があり、スコアは90を切るほどの腕前だった。「見るのがつらかった」とゴルフクラブは発病後に処分したが、再開を機に中古のセットを購入した。
2月から帯広のアップアイランドゴルフクラブで練習。市内の北海道ホテルで働く傍ら、週1回は右手のみで300球ほど打ち込んでいる。飛距離や精度が少しずつ上がり、ドライバーは100ヤードほど飛ばせるようになった。同クラブの丸一智哉支配人は「過去には1人、2人いたが、障害を抱えながらゴルフに取り組む人は珍しい」と話す。
最近は、外側に振り回すように歩いていた左脚の調子がいいという。大好きなスポーツだけに「体と心のリハビリになっている」と笑顔。「5月ごろにはコースに出たい」とプレーを心待ちにし、「働き盛りで脳卒中になり、ゴルフを諦めた人は少なくないはず。同じような状況の方と一緒にプレーできたら最高」と声を弾ませる。
4月16日には、同会の定期イベントで自身初めて企画に携わった「ポラリスカフェ」(会場・帯広市南町福祉センター=西15南36)の開催も控え、「気付きや発見の場にしたい」と意欲満々。水口代表も「私以外の当事者が企画・運営するのは初めて。会員それぞれの活動が互いの刺激になれば」と期待している。
4月16日の「ポラリスカフェ」は午後2時から同4時まで。対象は脳卒中の当事者やその家族、医療・福祉関係者など。日本脳卒中協会が募集した患者体験記を朗読するほか、障害者雇用促進法と現場の実状について語り合う。参加費500円。申し込み、問い合わせは事務局で作業療法士の藤井美穂さん(電話090・7584・3487、Eメールy.noukousoku@gmail.com)へ。
◆帯広市役所南町福祉センター地図
・南町福祉センター(ポラリスカフェ)の場所を示すマップ-Googleマップ