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相模原市事件から半年 管内病院 防犯強化を模索

さすまたの使い方を学ぶ清水赤十字病院の職員。左は朝山所長

清水で不審者対応訓練 警備員巡回や職員講習も
 不特定多数の人が日々出入りする医療機関にとって、防犯は大きな課題となっている。半年前の昨年7月26日には神奈川県相模原市の知的障害者施設で入所者ら19人が刺殺され、病院や福祉施設での事件は続いている。十勝でも18日に帯広協会病院(阿部厚憲院長)で刃物を持った男が副院長室に侵入し、逮捕されたばかり。管内の各病院は防犯体制の強化を検討している。

 警察庁によると、全国の病院、診療所では昨年1年間で8025件の刑法犯があった。道内では2013年、三笠市の市立三笠総合病院で医師が診療中に刺され死亡する事件も起きている。

 管内では清水町の清水赤十字病院(藤城貴教院長)が25日、新得署の協力で不審者対応を目的とした初の防犯訓練を行った。同院は相模原市の殺傷事件を受けて防犯を強化。不審者の動きを封じ込める武具さすまたを置き、正面玄関と裏玄関に「警察官立ち寄り所」の看板も掲げた。訓練では刃物らしき物を持った不審者が正面玄関から侵入したと想定。「医療費の支払いが高い」と窓口で暴れ始め、男性職員がさすまたを使って取り押さえた。

 同院の林裕一事務部長は「緊急事態に備えた日頃の訓練や体制強化の必要性を改めて感じた」とし、近々に院内で防犯カメラとドアロックを整備する考えだ。

 管内の多くの総合病院では、緊急時に「コードレッド」などと呼ばれる特別な院内放送を流し、職員が駆け付ける体制を取っている。このほか、防犯カメラの設置や、苦情に医療スタッフが直接対応しないなどの対応が進んでいる。

 帯広協会病院は警備員が常時1人巡回するほか、昨年から面会時には面会証を付けてもらうなどの防犯対策を進めてきた。ただ、今回の事件を受け、早急に暴力事案に対する取り組みの強化を図る。20日から一部出入り口の施錠を早めたほか、2月には職員向けに初の防犯講習を行い、さすまたの購入も予定する。水野仁事務部長は「できる限りのことを行い、再発防止に努めたい」と話す。

 1日約1800人が出入りする帯広厚生病院(菊池英明院長)は、警察OBの防犯担当が現金の輸送やハードクレームに立ち合うほか、24時間体制で複数人の警備員が巡回している。同院は2018年予定の新築移転時に「防犯システムをより強化する」(吉原利彦事務次長)とハード面の充実も図る。

 帯広第一病院(山並秀章院長)は今後、駐車場側の出入り口に警備員を1人常駐させることを検討。番場規真事務長は「来年度には職員証をIC化し、各部屋への入退出時間が分かるよう工夫したい」と話している。(松村智裕、小寺泰介)

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