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ロボット手術器で道東初の胃がん手術成功 帯広厚生病院

手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」(後方)と最初の胃がん手術に参加したメンバー。左から村川氏、小濱氏、帯広厚生病院外科スタッフ

 帯広厚生病院(菊池英明院長)は内視鏡手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を使った道東初の胃がん手術を9月に2例行い、いずれも成功した。同手術は現在、自由診療だが、2年後には保険適用が認められる見込み。両手術で執刀医を務めた村川力彦(かつひこ)外科部長は「東京や札幌などと同程度か、それ以上の最新治療を十勝で提供し、地域格差をなくしたい」と話している。

 同病院は2013年にダ・ヴィンチ(Si)を導入。手術者がコンソールに座ってアームを動かし、保険が適用される前立腺がん手術などを200例以上行っている。昨年末に道東で唯一導入した最新鋭のダ・ヴィンチ(Xi)は、より繊細な動きが可能となるため、胃がん手術の実施を視野に入れていた。Xiによる同手術では、縫合、摘出などの精度向上や、手術の時間短縮、患者の身体的負担の軽減などが期待されている。

 村川外科部長は、昨年10月に京都市立病院で手術を見学。インターネット上でのトレーニングや豚を使ったシミュレーション手術などを経て、ダ・ヴィンチを開発した米国インテュイティヴ・サージカル社の胃がん手術に関する資格を取得した。

手術者が座ってアームを操作するコンソール

 9月13日に実施した最初の手術は、指導医として小濱和貴京大准教授がサポート。続く同30日の手術も無事に終了した。両患者は出血や感染症、他の臓器の損傷などの問題もなく、10日前後で退院した。ともに早期の胃がんだった。

 村川外科部長はもともと内視鏡外科学会の技術認定医の資格を持ち、胃がん手術のほとんどは大きく開腹しない腹腔(ふくくう)鏡手術で行っている。ロボット手術については「通常の手術とは道具が違うので広まるには時間がかかるかもしれないが、針を使って縫う作業などは圧倒的に簡単。手術の質を上げ、合併症を減らすには非常に有効」と話す。6~7時間かかっている手術時間も「今後は短縮できる」と手応えを得ている。

 通常は170万円ほど費用が掛かるが、同病院では臨床試験として10例までは患者負担を20万円のみとしている。村川外科部長は「がんの進行度や状況にもよるが、選択肢としてロボットでの手術を紹介したい」と話している。(松村智裕)

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