乳がん検診 予約びっしり 北斗晶さん公表後に急増
十勝管内の医療機関で、乳がん検診の受診や予約の増加傾向が続いている。9月下旬にタレントの北斗晶さんが乳房摘出手術を公表した影響が強く、初めて受診するケースや40歳以下の若い層の来院が目立つという。各病院では「早期発見・早期治療で生存率が高まる」とし、セルフチェックも含め、関心が持続することを期待している。
北斗病院(帯広市稲田町基線7、井出渉院長)では乳がん検診の予約が来年2月までほぼびっしりで、乳腺外来も1・5倍ほど増えたという。地域医療連携課検診センターの高橋宏彰課長は「9月下旬から急増した。初めて検診を受けるといったケースが目立つ。過去にも増えたことはあったが、今回の増え方は最近ではあまりなく、今も予約の電話が鳴り続ける状況。乳がん関係の講演依頼も増えている」と話す。
帯広第一病院(同西4南15、山並秀章院長)も、今年度の乳がん検診受診数は前年度比15・4%増と好調に推移。同病院は「10月までに受診できなかった人が多数いて、今月以降も上回る状況は続いている。特に小さな子供がいる20、30代の女性の問いあわせが目立つ」とする。
10月は乳がんについて考える「ピンクリボン運動月間」だったため、自治体や病院、関係団体が受診率向上を目指し各種運動を展開したが、急増の要因について病院関係者は「北斗さんが検診を受ける大切さを呼び掛けたことが大きい」と声をそろえる。
北斗さんは9月23日に乳がんのあることをブログで告白、翌日に摘出手術を受けたが、定期的に乳がん検診を受けていたことなどが報道された。乳がん検診に関し、各自治体は40歳以上の好発年齢期を対象に無料化や助成など受診率向上につながる施策を展開するが、帯広保健所(十勝総合振興局保健環境部保健行政室)によると、管内の受診率は33・1%(2013年度)にとどまっている。
帯広協会病院(同東5南9)の阿部厚憲院長(外科)は「乳がんへの関心が高まったのはいいことだが、検診できるキャパシティーには各病院で限度がある。また、検診を受けた人のうち、乳がんが発見されるのは1%以下」とした上で、「定期的に検診を受けつつ、関心を一過性のものにせず、日頃から自分で触診するなどセルフチェックをし続けることが大切」としている。(佐藤いづみ)