広尾の酪農業久保昌弘選手、修斗全日本制しプロ総合格闘家に
広尾町在住の酪農業久保昌弘(29)が総合格闘技・修斗の第22回アマチュア全日本選手権大会(9月22日・神奈川県小田原市、日本修斗協会実行委主催)ライトヘビー級(83・9キロ以下)で優勝し、プロ昇格を果たした。「十勝を拠点に活動する選手としては初の(総合格闘技の)プロ」と胸を張る久保は、11月に控えるプロ初戦を華々しい勝利で飾るべく鍛錬に励んでいる。
久保は全日本選手権の初戦をスリーパーホールドで勝利、準決勝と決勝は3-0の判定勝ちで優勝を飾った。過去の成績なども考慮され、プロ昇格が認められた。
柔道と空手の経験こそあるものの、久保が総合格闘技を始めたのは26歳になってから。弟の和弘(27)に誘われて臨んだ3年前の初戦で弟は勝ったが久保は負けた。「勝つまでやろう」という思いが久保を奮起させ、「どうせやるならプロに」と決意。和弘が昨年プロのキックボクサーになると、久保の練習にはさらに熱が入った。悲願のプロ昇格に「最初はうれしかった」と振り返る久保だが、翌日には「自分でもびっくりするくらいに練習しなければ」と気を引き締めた。新たなステージに立った久保は、すぐに上を見据えた。
普段は帯広レスリングクラブ(五十嵐真人代表)と帯広ボクシングジム(中橋邦夫会長)に週計6日通い、タックルやグラウンドテクニック、打撃に磨きを掛けている。レスリングクラブでは子供たちに交ざってフィジカルの強化に励み、「ついていけないくらい厳しい」という練習が久保を強くした。修斗も含めてのアマチュア大会での通算成績は16戦12勝4敗だが、レスリングを練習に取り入れてからは6勝1敗と急成長した。ボクシングで鍛えたパンチ力にレスリングで培った体幹中心のパワーも加わり、プロへの階段を駆け上がった。
十勝管内の総合格闘技の競技人口は少なく、インターネットでプロの練習メニューを見ながら日々試行錯誤を続けている。帯広市内で練習を終えて広尾の自宅に着くのは日付が変わるころ。「仕事と格闘技のことしか考えられてない」と苦笑いしながらも、「やれるだけやりたい」と気合十分だ。
久保は11月8日午後5時から、総合格闘技系のプロ選手が招かれて札幌・マルスジムで開かれる「D-SPIRAL vol.6×GRACHAN北海道大会」に出場する。プロとして臨む初の試合に向けて、「ここで負けたら意味がない。お客さんが喜ぶ勝ち方を」と決意を語った。(村田壮一朗)