手話普及を 帯広で条例化の動き 7月にシンポジウム
手話を言語として位置付け、普及を促す「手話条例」の制定を求める動きが、帯広市内でも活発化している。管内では新得と鹿追の両町で制定されており、帯広ろう者協会(平野千秋会長)などは、7月25日に条例制定に向けて市民理解を進めるシンポジウムを開き、市民の間でも機運を高める考え。同協会からの要望を受け、市も条例制定の検討に入っている。
手話がろう者の言語だと認め、手話が使いやすい環境整備を進める条例制定は、全国の都道府県や市町村で進んでいる。道ろうあ連盟によると、道内では昨年4月に全国の町村で初めて制定した新得町や鹿追町の管内2町の他、石狩市と名寄市の計4市町が条例を設けている。帯広市以外に、道や登別市、旭川市などが現在検討している。
条例を設けた自治体では、住民対象の手話講座を開いたり、手話通訳者の育成を図っている。子供のころから耳が聞こえない人への理解を広げることが大切だと、小・中学校で手話教育に取り組んでいる自治体もある。
帯広市内で障害者手帳を持つ聴覚障害者は3月末で835人。同協会は昨年4月と今年2月の2度、市に対して手話条例の制定を要望した。3月には、市議選の立候補予定者に手話条例に関するアンケートを実施。大半が手話条例に「賛同」と回答し、賛否を答えなかった候補も「聴覚障害だけでなく障害者全般での議論が必要」とした上で、基本的な方向性には理解を示した。
条例制定は市議会でも複数回取り上げられており、18日の一般質問で藤澤昌隆市議(公明)に対して市は「検討している」と答弁。市保健福祉部は取材に対し「条例を作るには(聴覚障害の)当事者や外部団体などの協力が必要になる。準備、調整をしている段階」とし、内部協議を進めていると説明した。
7月のシンポジウムは同協会と市手話条例推進委員会(曽我修己委員長)が主催し、市内のとかちプラザで開く。NHK「みんなの手話」の講師を務めた早瀬憲太郎さんが講演し、ミニ手話教室などが開かれる。
9月には帯広で「全国ろうあ高齢者大会」が開かれることから、ろう者を受け入れる環境や意識を高める狙いもある。曽我委員長は「条例を通して手話は言語であるとの理解が市民の間に広がってほしい。『ろう』とは何か、手話とは何かについて関心があればシンポジウムに来てほしい」と呼び掛けている。
(安田義教)
◆手話条例について
・手話言語法 意見書マップ、手話言語条例マップ-全日本ろうあ連盟ホームページ