2団体のスノボ1級取得 新得の乙井君
【新得】今春、新得中学校の1年生となる乙井柊斗君(12)が、まだ小学6年生だった3月下旬までに日本スノーボード協会(JSBA)と日本スキー連盟(SAJ)の両団体のバッジテスト1級試験に合格した。小学生が2つの団体の1級を取得するのは珍しく、大人顔負けのテクニックを身に付ける乙井君は「毎日の練習はきつかったが、1級を取りたいから頑張ることができた」と地道な努力の積み重ねで目標を達成した。
今年1月に新得山スキー場で行われたSAJの1級試験に合格した乙井君は、3月29日にサホロリゾートスキー場で行われたJSBAの1級試験にも挑戦。3本の滑走の合間に合計36個もの雪だるまを作って「緊張を紛らせていた」というが、指導するサホロスノーボードスクールの宮下止揚(しよう)校長は「ハイスピードでの回転やターンなどボードを自在に操ることができ、インストラクターでもできないようなトリックを組み立てていた」と絶賛するほどの滑りを見せ、見事に合格した。
乙井君は町職員の乙井逸人さん(40)と梨香さん(38)の次男。兄の響貴君(14)も含め、家族そろって冬季スポーツとは無縁だったが、小学2年生のときに、友人宅に近い新得山スキー場でスノーボードをしている人の姿に魅入られ、始めた。軸足が左右どちらでもできるというメリットを生かしてメキメキと上達し、3年でSAJ3級、4年生で同2級を取得。JSBA2級は今年1月に合格した。
冬休み中は毎日、1人でバスに乗ってサホロスキー場に通い、午前10時から午後3時まで練習を行い、さらに週に3回は午後5時から同7時まで所属するサッカー少年団の練習も行ってきた。「疲れたけれど、小学生の内に1級が取りたかった」と強い意志で乗り切った。母の梨香さんは「好きなことには一生懸命で、楽しそうにしていた」と振り返る。
将来の夢は「プロボーダーかプロサッカー選手」と中学生になってもスノーボードもサッカーも続けるつもり。「スノーボードはインストラクターの資格も取得したい」と目標も膨らむ。
宮下校長は「乙井君の滑っている姿からスノーボードの楽しさが伝わってくる。成長が楽しみな逸材。ぜひ続けてほしい」と期待を寄せている。(大野篤志)