岡本農園がトマトビネガー商品開発 帯農高の技術移転
帯広農業高校食品科学科のビネガー作りの技術を移転し、中札内村の岡本農園(榊孝弘社長)が初めて「トマトビネガー」を商品化した。千葉県の幕張メッセで開かれるアジア最大級の国際食品・飲料展「フーデックスジャパン」(3月3~6日)に、同社が出品する。高校生たちの技術が十勝の企業に活用され、世界の人が集まる市場でお披露目される。
同学科の農産加工分会ビネガー班は2006年度、学校農場から出る規格外農産物を有効活用するため、ビネガー作りを道立オホーツク圏地域食品加工技術センター(北見市)と共同で始めた。
これまで製造したビネガーは主に校内で販売されてきたが、数年前から十勝の企業に「高校生が作るビネガー」として注目されている。昨年は帯広市内の飲食店「旬彩 高心」(大通南24、小林宏行代表)と仲間の異業種で商品開発する機会が増え、そこで知り合った農産加工技術を持つ岡本農園へのビネガー製造技術の移転が決まった。
ビネガーは農産物をつぶして水を加え、低温殺菌した後、アルコール、さらに酢酸菌を加えて発酵・熟成させる。代々の班員たちが、熟成時に保温する方法など工夫や改良を重ね、製造技術を高めてきた。
同班を指導する菊池直樹教諭は「学校で作り、販売するだけではなく、高校生たちの技術を移転して農家と十勝に貢献するのが狙いだったので願いがかなった」と話す。
岡本農園では無農薬・無化学肥料で育てたトマトを使用。札幌のデザイナーに依頼し、200ミリリットル入り瓶詰めのスタイリッシュなデザインの商品に仕上げた。
榊社長は「技術移転を重く受け止めている。代々の高校生たちの気持ちを込めて販売に努めたい」、榊園副社長は「トマトの甘みが生きたビネガーは夏の暑い日にサイダーなどと割って飲むとおいしい。ドレッシングや保存性の高い調味料として、レストランなどにも売り込みたい」と話す。
同班は2年生9人が中心となって活動する。森本怜央奈班長らは「高校生ではできないことが地域の協力で実現できた」「デザインがかわいい」「技術移転は私たちの誇り」と喜んでいる。(酒井花)