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帯南商男女V、リレー白樺学園も、インターハイスケート

学校対抗で男女アベック優勝を果たした帯南商。前列左から橋本萌生、磯卓磨、小原憂雅、浅野実久、関井瞭。後列左から東出俊一監督、笠原あかり、小野寺優奈、森夏々子、小原萌華、鈴木心蕗、榊原一輝

 【山形】第64回全国高校スケート選手権大会(インターハイ、全国高体連など主催)最終日は25日、山形市総合スポーツセンタースケート場でスピードスケートの4種目を行い閉幕した。学校対抗は男女とも帯南商が頂点に立った。男子は初制覇、女子は史上4校目となる3連覇を達成した。アベック優勝は2008年の白樺学園以来7年ぶり3校目の快挙。池田が男子の2位に入った。2000メートルリレーは白樺学園が男女とも制し、学校対抗もそれぞれ3位に食い込んだ。女子1500メートルは小野寺優奈(帯南商2年)が5位、蓑田結依(白樺学園3年)が7位に入賞した。(北雅貴、塩原真)

男子は初、女子は3連覇 男子5人で新たな歴史
「素直にうれしい」小原主将

 「全道優勝チームとして、恥ずかしくない成績を残そうと思っていた。素直にうれしい」。帯南商男子の唯一の3年生、小原憂雅主将はほっと胸をなで下ろした。全道に続き全国でも初制覇し、チームの歴史に新たな1ページを刻んだ。

 これまでのインターハイでは昨年の4位が最高。2011年以前は20位前後が定位置だった。この6年間、表彰台に立ち続け強豪の仲間入りした女子に比べ、大きな実績は上げられなかった。全校生徒の約8割が女子ということもあり、肩身の狭い思いもしていた。

 今年は男子部員5人と選手層は厚くはないが、安定したレベルを誇る。優勝者はいなかったものの、1000メートルは小原が4位、榊原一輝(1年)が5位、1500メートルは磯卓磨(2年)が2位、小原が4位と両種目とも出場の2人が入賞を果たした。500メートルも榊原一輝(1年)が3位。長距離は磯が失格し入賞こそなかったものの、橋本萌生(2年)が5000メートル17位、1万メートル14位と粘り、24位以内でゴールし1ポイントずつを取った。関井瞭は500メートルで32位と2回目に進めなかったが、まだ1年生で貴重な経験を積んだ。2000メートルリレーでは、リンクサイドで大声で指示を出した。

 池田を5点差で追い掛ける3位で最終日を迎え、1500メートルの好成績で一気にひっくり返した。練習時から互いに負けないというライバル意識を持ちつつ、積極的にコミュニケーションを取った。東出俊一監督は「互いに切磋琢磨(せっさたくま)しながら高め合っていた。チームワークが素晴らしかった」と、選手のまとまりを評価した。

 得意の1500メートルで狙っていた優勝を果たせず悔し涙を流した小原主将は「誰かがカバーし合っていた。少ない人数でも全道、全国優勝ができるんだと証明できた」と胸を張った。

【女子1500メートル】レース後に涙を流す小野寺優奈(中央、帯南商)。左は慰める浅野実久主将

「必死にやった結果」女子はリレーで逆転
 勝負は最後まで何が起こるか分からない。帯南商女子の学校対抗3連覇の可能性は、最終種目のリレーを前に消えかかっていた。この日の1500メートルで14点を上積みした帝京三(山梨)に逆転されていた。4点を追う展開に、浅野実久主将(3年)は「厳しいと思った。先輩たちに申し訳ないなとも」と振り返った。

 ところが帯南商の前組の帝京三の2走が、バックストレートで転倒しコースアウト。レーンに戻って完走したが、逆走となり全組終了後に失格が発表された。1走を務めた女子500メートル覇者の浅野は「少しでも速く滑り、後輩たちに安心を」と積極的に滑った。森夏々子(2年)、笠原あかり(1年)、小野寺優奈(2年)とバトンをしっかりとつなぎ4位に。再逆転で栄冠を手にした。

 一昨年は高木美帆(日体大2年)、昨年は太田凪砂(信州大1年)や酒井寧子(高崎健大1年)と頼れる先輩たちがいた。現在の3年生は浅野1人のみ。プレッシャーはあったが、実力は折り紙付きの上、気配りも欠かさなかった。この日も、1500メートルで5位となり悔しさのあまり号泣した小野寺を抱きかかえて慰め、一緒に涙する場面も。

 浅野と小野寺の得点以外に、森が1000メートルで18位、小原萌華(1年)が3000メートルで23位に入り、24位以内に与えられる1ポイントを獲得したのも大きかった。鈴木心蕗マネジャー(2年)も献身的に支えた。優勝決定後、メンバーは帯広に残ったもう1人のマネジャーの渡辺夕稀乃(同)に喜びの報告を入れた。浅野は「全員が必死にやった結果。来年の開会式で後輩たちが優勝カップを返還できることが何よりうれしい」と笑顔を見せた。

 来年は第58~61回の駒大苫小牧以来の4連覇を目指す。小野寺は「個人で2冠を取り、優勝につなげたい」と気合を入れていた。

【男子2000メートルリレー】白樺学園の3走・嶋田英爾(左)からバトンを受け取り加速するアンカーの松本健太。全員が安定して滑り、優勝を果たした

白樺学園男女が優勝 男子は十勝勢表彰台独占 2000R
練習成果を発揮「全員でつかんだ」 白樺学園男子

 白樺学園男子が、リレーで昨年の雪辱を果たした。前回はバトンパスの際に、選手同士が接触し転倒して失格となった。今年はインターハイ前に、明治北海道十勝オーバルで練習を重ねた。リレーに出場しない部員をバトンの受け渡し場所の4カ所に配置、受け取る側の選手に始動を促す「ゴー」と声を掛けるタイミングを計った。

 この日は大きなミスもなく、実力差が少ない4人が堅実に力を発揮。全道大会では発熱でメンバーを外れた2走の石川斗来(1年)も伸び伸びと滑った。アンカーを任された松本健太(2年)は、「声掛けを含め全員でつかんだ勝利。来年は学校対抗でも優勝をつかむ」と誓っていた。

【女子2000メートルリレー】白樺学園の3走・持田あかりからバトンを受け取る最終滑走者の川村聖亜(右)

男子と一緒「喜びも倍」 白樺学園女子
 先に行われた男子リレーに続き、女子も白樺学園がトップに立った。アンカーの川村聖亜(2年)は「男子と一緒に優勝できて良かった。喜びも倍」と、屈託なく笑った。

 短距離に強い2年生4人をそろえた。今大会500メートル1回目で3位の好成績を残した持田あかりと、全道1000メートル優勝の川村を後半に配置。1走・能戸若菜と2走・岡崎小春も力走し、リンク新記録につなげた。昨年12月下旬の全道大会以降は、練習が終わると短距離チームでハイタッチする約束事を決め、一体感を高めた。川村は「良い終わり方だった。今後は個人それぞれがレベルを上げることで、チーム力を高める」と、気合を入れ直していた。

【男子1500メートル】1分58秒30で管内トップの2位に入った磯卓磨(帯南商)

「気合」の滑りで全国初の表彰台 男子1500準優勝の磯
 男子1500メートルで2位に入った磯卓磨(帯南商2年)は、満面に笑みを浮かべた。更別中央中時を含めて全国大会初の表彰台だ。

 22日の5000メートルで表彰台に上るタイムを出しながら、残り1周半のバックストレートで相手選手を妨害したとして失格に。ゴール後に大きなガッツポーズで喜んでいただけに、ショックも大きかった。

 今季から本格的に始めた1500メートル。全道で2位に入り自信を深めた。さらに山形に入ってからもコーナーでの加速に手応えがあり、好調を実感していた。最初の700メートルを積極的に飛ばし、残りは「気合で」と滑り切り、屋外の自己記録を2秒23更新した。「本当にうれしいし、ほっとした」と喜んだ。

緊張で滑り硬く
女子1500メートル7位の蓑田結依の話
 学校対抗のためにもっと上位に行きたかった。みんなに申し訳ない。緊張で滑りが硬かった。白樺は家族のようなチームで、後輩は妹みたいなもの。仲良く楽しく過ごせた。


(25日・7位以下関係分)
【男子】
◇1500メートル
(カルテット)
日本記録   中村 奨太(ロジネットジャパン)1分44秒99
日本高校記録 中村 奨太(駒大苫小牧高)1分46秒87
大会記録   三輪 準也(白樺学園高) 1分50秒35
リンク記録  羽田 浩治(山梨・富士河口湖高)1分57秒60

(1)石川 将之(山梨・北杜)1分57秒19
=リンク新
(2)磯  卓磨(帯南商)1・58・30
(3)林  莉輝(長野・佐久長聖)1・59・22
(4)小原 憂雅(帯南商)1・59・62
(5)小岩 和輝(白樺学園)2・0・06
(6)一戸 大地(山形中央)2・0・59
(9)嶋田英爾(白樺学園)2・1・22
(13)松井友汰(池田)2・1・75
(15)井上一樹(釧路高専-帯八中出)2・2・02
(17)久保廉(帯三条)2・2・55
(22)加藤隼太(同)2・3・38
(23)寺町司(帯農)2・4・11
(28)久保将人(同)2・5・41
(31)織田勇進(池田)2・6・24
(33)堀川尊広(芽室)2・6・36
(37)木村僚玖(同)2・8・92

◇2000メートルリレー
日本記録   日大2分21秒57
日本高校記録 白樺学園高2分24秒70
大会記録   白樺学園高2分24秒70
リンク記録  吉田産業2分41秒48

(1)白樺学園(高田衛、石川斗来、嶋田英爾、松本健太)2分30秒65
(2)帯三条(下坂明彦、久保廉、加藤隼太、水野達喜)2・31・41
(3)池田(山田将矢、齋藤尚吾、松井友汰、青木雅弥)2・34・12
(4)帯南商(榊原一輝、磯卓磨、小原憂雅、橋本萌生)2・34・28
(5)長野・小海(高見澤涼、菊池耕太、岩下稜、菊池浩樹)2・34・31
(6)群馬・嬬恋(小林裕司、一場伸一、倉持慶、田子隆太)2・35・14
(7)山形中央(吉田優太、由井直樹、横山碧生=池田中出、一戸大地)2・36・39
(8)帯農(辻本一史、及川忍、久保将人、寺町司)2・37・11
 ※12位の盛岡工(岩手)までがリンク新。釧路明輝と盛岡農は失格

◇学校対抗
(1)帯南商40
(2)池田33
(3)白樺学園32
(4)小海(長野)29
(5)佐久長聖(同)23
(6)山形中央20
(10)帯三条16
(14)帯農8
(16)帯柏葉6
(16)鹿追6
(20)帯工3
(26)芽室1

【女子】
◇1500メートル
(カルテット)
日本記録   田畑 真紀(ダイチ)1分54秒28
日本高校記録 高木 美帆(帯南商高)1分56秒16
大会記録   高橋 菜那(白樺学園高)2分3秒20
リンク記録  石野枝里子(富士急)2分7秒13

(1)佐藤 綾乃(釧路北陽)2分10秒56
(2)宮嶋未奈美(山梨・帝京三)2・12・82
(3)高山 瑞穂(駒大苫小牧)2・12・99
(4)飯島可奈子(帝京三)2・13・05
(5)小野寺優奈(帯南商)2・14・38
(6)原  和穂(長野・佐久長聖)2・14・79
(7)蓑田結依(白樺学園)2・15・49
(9)澤尻磨里英(同)2・15・88
(10)桑原彩奈(池田)2・16・04
(12)木村茉悠(帯三条)2・16・66
(13)川上琴子(帯農)2・16・76
(14)山澤清楓(池田)2・16・86
(20)小竹琉湖(山形中央-音更中出)2・19・45
(22)松浦純奈(帯三条)2・20・89
(29)石黒奈那(帯工)2・23・70
(30)津田夏帆(芽室)2・23・96
(35)小原萌華(帯南商)2・26・08
(42)嶋木葵(帯農)2・27・32
(49)増田愛理(帯工)2・35・84
 小川菜々子(鹿追)は失格

◇2000メートルリレー
日本記録   日体大2分37秒24
日本高校記録 白樺学園高2分41秒31
大会記録   白樺学園高2分41秒31
リンク記録  富士急2分49秒87

(1)白樺学園(能戸若菜、岡崎小春、持田あかり、川村聖亜)2分47秒34
=リンク新
(2)長野・伊那西(堀久美子、竹松秋美、松本芽依、山田梨央)2・50・82
(3)池田(虫狩光桜、延与ひより、齊藤萌、汲田理沙)2・52・59
(4)帯南商(浅野実久、森夏々子、笠原あかり、小野寺優奈)2・52・78
(5)帯農(冨田夏未、嶋木葵、川上琴子、宇佐見鈴音)2・54・76
(6)市立長野(保科玲美、西原稚葉、細田京香、藤森彩香)3・10・37
 山梨・帝京三、帯三条は失格

◇学校対抗
(1)帯南商35
(2)帝京三(山梨)33
(3)白樺学園29
(4)伊那西(長野)29
(5)佐久長聖(同)24
(6)池田20
(10)帯農14
(11)帯三条12
(21)帯柏葉1
(21)帯工1
(21)芽室1
 ※6位以内で同点の場合は、種目別上位入賞者の多さによる

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  • 2000メートルリレーで男女とも優勝した白樺学園。前列左から女子チームの能戸若菜、岡崎小春、持田あかり、川村聖亜。後列左から男子チームの高田衛、石川斗来、嶋田英爾、松本健太

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  • 【女子1500メートル】レース後に涙を流す帯南商の小野寺優奈(右)を慰める浅野実久主将

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