メディア芸術祭あす開幕 十勝千年の森
【清水】「文化庁メディア芸術祭 十勝帯広展」(同庁主催)が1日午前11時、十勝千年の森(町羽帯)などで開幕する。同芸術祭の受賞作品約50点を紹介する地方展で、同芸術祭としては初めての屋外開催となる。自然豊かな会場を背景に、国内外の作家・クリエイターによるメディアアート作品を鑑賞できる。13日まで。
十勝千年の森会場で注目される展示は、ゲーム監督でeスポーツプロデューサーの犬飼博士さんと、インスタレーション作家の安藤僚子さんの共同作品「スポーツタイムマシン」だ。
全長25メートル超の壁に動物などが走った映像をプロジェクターで投写し、「かけっこ」で対戦できる。鑑賞するだけでなく、自らも体験できるのがメディアアートの特色でもある。
情報科学芸術大学院大学(岐阜県)准教授のクワクボリョウタさんの「10番目の感傷(点・線・面)」や、「星夜の映画祭」と題して屋外スクリーンでのアニメーション作品上映など多彩なアートを展開する。
サテライト会場の帯広市図書館でも、人気漫画「ジョジョリオン」の原画を含む企画展などを展開する。
開場時間は十勝千年の森が午前11時~午後5時。期間中無休。市図書館が午前10時~午後8時(土、日、祝日は午後6時)、月曜休館。入場無料(十勝千年の森はメディア芸術祭会場以外のエリアに入園する場合は入園料が必要)。
メディア芸術祭は今年18回目を迎え、アート、エンターテインメントなど4部門で優れた作品を表彰。昨年は日本を含む84の国と地域から4347作品が出品された。過去には「もののけ姫」も受賞。05年には浦幌町出身の漫画家吾妻ひでお(本名・吾妻日出夫)が「失踪日記」でマンガ部門の大賞を受賞している。(大谷健人)
主催者、作家3人にインタビュー
1日に十勝千年の森を主会場に開幕する「文化庁メディア芸術祭 十勝帯広展」は、初めての野外舞台として「メディア芸術の林間学校」をコンセプトにしている。「芸術」の枠には収まらず進化を続けるメディアアートと十勝の豊かな自然がどう融合するのか。同芸術祭の李明喜ディレクター、杉本友昭プロデューサー、「スポーツタイムマシン」を出品する作家の安藤僚子さんに、芸術祭の魅力や楽しみ方を聞いた。(聞き手・大谷健人、写真・塩原真)
草原とメディアアート 融合にわくわく
初の野外展「体験を」
-メディア芸術祭とは。
杉本さん 文化庁主催で今年で18回目。アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門の優れたアーティストの作品を表彰する。受賞作品の鑑賞機会として毎年地方展が開催され、今年度は十勝・帯広の他、松山(9月に終了)、秋田で行われる。
-初の野外開催をどう受け止めているか。
李さん 「スポーツタイムマシン」で外を思いっきり走る、星空の下、草原でアニメーション作品を鑑賞する、自然の中でマンガを読むというように、従来あり得なかった全く新しい展示になる。メディアアートは従来の芸術とは異なり、最大の特徴は「体験できる」こと。そうした視点では屋外というの可能性を秘めている。
安藤さん 「スポーツタイムマシン」の展示はこれまで山口県では商店街、東京ではビルに囲まれた東京ミッドタウン(赤坂の複合商業施設)だった。今回は草原ということでギャップは大きく、設営を見た瞬間から「面白いことができる」とわくわくしている。来場者の皆さんはもちろん、アーティストも雄大な野外でのメディアアートの可能性を楽しみたい。
-楽しみ方を。
杉本さん 難しいイメージを逆手に取りたい。気軽に体験できるので、参加して楽しんでもらい「あれがメディアアートだったんだ」と、思ってもらえれば成功。
-十勝・帯広の印象は。
李さん 北海道は自然が豊かな場所が多いが、ここまで広大なスケール感は十勝・帯広だけ。自然とメディアアートを想像力を働かせて融合させる新しい
チャレンジの舞台としてふさわしい。
◆文化庁メディア芸術祭について
・第18回文化庁メディア芸術祭-公式ホームページ
・メディア芸術の林間学校-公式Facebookページ
・10月に文化庁メディア芸術祭、十勝千年の森で開催-十勝毎日新聞電子版(2014/08/28)
・ジョジョリオン直筆原稿展示へ メディア芸術祭-十勝毎日新聞電子版(2014/09/18)
・作品設営準備進む、来月1日メディア芸術祭開幕-十勝毎日新聞電子版(2014/09/29)
- カテゴリ芸術・文化
- タグ十勝千年の森文化庁メディア芸術祭