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不戦の絵を描き続ける95歳の茨木源三さん あす敬老の日

不戦の願いを込めて油彩画の制作を続ける茨木さん(塩原真撮影)

 帯広市の茨木源三さん(95)は70歳から油彩の制作を始め、自身の戦争体験から不戦の願いを込めてキャンバスに向かい続けている。公募展「平原社展」でも入選を重ねている。あす15日は「敬老の日」。

 茨木さんは1918(大正7)年、富山県生まれ。地元の旧制中学を卒業後、陸軍に入隊した。45年夏、千島列島の飛行戦隊で八戸の基地に向かう途中、機体の不調で緊急着陸した帯広で終戦を迎えた。戦局が悪化する中、いつ特攻命令が来てもいいと思っていた。「帯広で命をもらった」と、この地で暮らしていくことを決めた。

 NHK帯広放送局に入社し、帯広出身の瑠美子さん(故人)と結婚、2女をもうけた。55歳で営業部長を退職後は、市役所の嘱託職員や釧路家庭裁判所帯広支部調停委員を務めた。

 70歳からカルチャー教室で油彩を学び、現在も市内の絵画グループ「繭の会」の最高齢会員として活躍する。以前は旅先の風景も描いたが、近年は一貫して「不戦」をテーマとする。日中戦争では地上戦を経験した。自宅には、傷ついた戦友を背負って戦火をくぐり抜ける兵士の姿など、戦地での日々を振り返りながら描いた作品が並ぶ。「特定秘密保護法(の成立)など、今の世の中(の動き)は僕の中学卒業のときに似ている」と危機感を抱く。「言葉で言っても人間はすぐ忘れる。絵だと忘れない」と願い、筆をにぎる。

 平原社展には今年で16回連続入選を果たした。毎年50号の大作を1年かけて完成させる。「絵は面白い。夜寝ていても『駄目だな』と思ったら、起きて描き直す。(いろいろと)考えるのでボケ防止の一つ」と朗らかに笑う。

 絵と向き合うには体力が必要。自転車型トレーニングマシンを「毎日10分から20分、200回踏んでいる」という他、NHKの退職仲間との月1回の飲み会とその後のカラオケも健康の秘けつ。「死ぬまで絵を描くでしょうね」と話す茨木さんは、15日に96歳の誕生日を迎える。(澤村真理子)

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