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カニの家駅前に復活 十勝サロンアネックスでも関連イベント

毎夏、全国各地からオートバイなどで来る若者でにぎわった帯広駅周辺の“元祖”カニの家(1980年代後半、参納さん提供)

 大きなリュックサックを背負った姿から「カニ族」と呼ばれた旅行者やオートバイで旅をする若者たちのため、1971年から20年間にわたってJR帯広駅周辺に開設された無料宿泊施設「カニの家」が8月8~10の3日間、市民有志の手で同駅北口多目的広場に復活する。大型テントと畳で“元祖”の同家を再現、来場者に当時の雰囲気を体感してもらう。同3日から31日には旧ホテルみのや1階「十勝サロンアネックス」(西2南10)で、カニ族たちが親しんだ“帯広の味”も提供、かつての帯広の夏をよみがえらせる。

 市内の飲食店「立ち食い処『結』」店主の本間辰郎さん(57)が企画。本間さんは高校時代に見たカニ族たちが帯広の盆踊りで楽しそうに踊る姿が目に焼き付いている。「伝説のカニの家」を復活させ、中心街活性化のヒントにしようと、同家の管理・運営を担っていた参納弘義さん(74)=帯広、昭和ナツカシ館館長=に協力を依頼した。

 参納さんは当時、同家の向かいで「喫茶さんのう」を経営。カニ族たちが旅費を稼ぐため農場の仕事などアルバイト先も紹介し、面倒を見た。ピーク時には1カ月で1500人が宿泊し、「カニ族たちの口コミで帯広・十勝が道外に広まっていった」という。十勝を気に入り、移住したカニ族も少なくない。同家は93年に大正町へ移転した。

 同広場では大型テント2基の中に畳を敷いて同家を再現し、テントの中で往時のカニ族の写真を展示する。豪華景品が当たる「トウキビ早食い選手権」(10日午前11時~)などのイベントも開催する。

 

カニのポーズで来場を呼び掛ける関係者(左が本間さん、右が参納さん)。前列中央は東京から自転車で道内旅行中の小野敦さん(十勝サロンアネックス前で)

同アネックスでは、同喫茶でカニ族たちに親しまれた「田舎風スパゲティー」「ジャガイモたっぷりカレーライス」の懐かしのメニュー(いずれも500円)を本間さんが調理して提供。帯広在住のミュージシャン金安彰さん(ギター・ボーカル)、渕根克伸さん(パーカッション)、npeかどわきさん(ベース)による生演奏もある(日時は未定)。

 また、同会場では参納さんのコレクションによる「帯廣町商店街歴史展」も開催。商人道具や生活用品など50点を並べ、明治から昭和の帯広の様子を紹介する。カニ族たちがつづったノートも並べる。

 本間さんは「来年以降も活動を続け、カニ族のOBたちにも再び帯広に集まってもらえれば」と期待し、参納さんも「(帯広の観光PRのために)最高のチャンス。昔の若い人たちに再び会えたらうれしい」と話している。

 同家の開場は午前9時~午後8時(宿泊はできない)。同アネックスでの飲食の提供と歴史展は午前10時~午後6時(期間中は無休)。問い合わせは本間さん(070・5668・3389)へ。(澤村真理子)


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