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自己肯定感醸成する教育プログラム実践 音更中

「ACT」の授業で、その人の良いところを紙皿に書き込むため並ぶ生徒たち

 【音更】音更中学校(高橋康伸校長、281人)は今年度から、生徒の自尊感情や自己肯定感を高めるための授業プログラム「ACT(アクト)」を新たに組み立て、独自に実践している。生徒が互いに褒め合うことなどを通じ、それぞれの自己イメージ向上を図る内容。教員同士が授業の実践方法を共有化し、今年度は効果の高い手法を検討、体系化を図っていく。同様の授業は全国的に実践事例があるものの、十勝では先駆的な試み。

 生徒たちは、紙皿に手のひらの形をなぞって描き、洗濯ばさみで背中に付けると、一斉にペンを持って立ち上がった。紙皿の手の中に、その人のいいところを書き込んでいく。相手に言葉を伝えようとする生徒の列が連なっていった。

 6月下旬、1年生の教室で行われたACTの授業。生徒は、自分の背中から紙皿を取ると「掃除を手伝ってくれた」「休み時間にごみを拾っていた」「ノートを見せてくれた」「優しくしてくれた」などと書かれた自らの評価に、はにかんだ笑顔を見せた。

 ACTは受容(Acceptance)、自信(Confidence)訓練(Training)の3つの英単語の頭文字を取って名付けた。千葉孝司教諭(44)を中心に進めている。

 同校は4月、生徒に自分自身の評価などを問うアンケートを実施。生徒は物事に真面目に取り組む一方、あまり強く自己主張をしないで控えめな性格という傾向が読み取れた。このため「体系的に自尊感情を高め、生徒が本来持つ力を発揮してもらおう」(千葉教諭)と実践を始めた。

 ACTでは授業のように、相手を認めることや、自分を認める仲間に気付いて互いの違いを尊重して自信を深め、主張することを導く。実践方法では、教員が議論を重ねて組み立てている他、人間関係やコミュニケーションをスムーズにするポイントを校内に掲示、啓発している。

 今後、生徒へのアンケートで自尊感情の高まりを数値化し、学力と同じように授業の効果を確かめる。将来的には体系化した授業プログラムとして他校への普及も目指す。

 全国的には生徒の自尊感情を高める教育が課題。昨年度の全国学力・学習状況調査では「自分にはよいところがあると思わない」と回答した全道の小・中学生の割合が全国の割合を上回った。

 千葉教諭は「生徒が自分のすばらしさに気付いて自信を持ち、友達のことも大切にしてほしい」とし、高橋校長は「生徒が互いに高め合うような学校づくりにつなげたい」と話している。(井上朋一)

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