若手ピアニスト長尾さん来村 中札内農村休暇村
【中札内】芸術家に住居と研究機会を提供する「アーティスト・イン・レジデンス」事業で、若手ピアニストの長尾崇人さん(22)=東京都出身=が今春、中札内農村休暇村フェーリエンドルフ(村南常盤東4線、西惇夫社長)で活動を始めた。休暇村内の静かな環境で練習に励みながら、室内楽やソロでのリサイタルも定期的に開催する予定だ。
長尾さんは今春、昭和音楽大(神奈川県)のピアノ演奏家コースを卒業。恩師の三谷温同大准教授の紹介で来村した。同事業の研究生は、今年2月まで約2年間滞在した若手ピアニスト三國洸(たける)さんに次いで2人目となる。
同事業では西社長が休暇村内にピアノ付きの住居と練習場所のピアノサロンを提供する。4月末に森に囲まれた休暇村に到着した長尾さんは、「静かで広く、集中できる。アイデアも湧いてくる」と新しい練習環境を気に入っている。
2年ほどの滞在を想定しており、研究テーマとして室内楽でブラームスのバイオリンソナタ3曲すべてを演奏することを目標にしている。同じく同大を今春卒業したバイオリニストの和光憂人さんが同事業で帯広市に来ており、「デュオで年4回ほどコンサートを開きたい」と考えている。
ソロではバッハやシューベルトなどドイツ語圏の作曲家の作品を研究する予定。ドイツ語圏の音楽は大学時代から演奏しており、「演奏は難しく、音楽表現に工夫が必要だが、深い精神性があり、最初に聴いたときから感動した。自分に合っている」と語る。
「どんなにテクニックがあっても最終的に心を打つのは音色。音色にこだわりたい」という長尾さん。将来の目標はウィーン留学だ。休暇村内のレストランでも演奏を始めており「自分の演奏で皆さんに少しでもクラシックに興味を持ってもらえれば」と話している。
北海道を訪れること自体が初めてで、「憧れでいつか住んでみたかった。自然が好きなので満喫したい」と北国の生活も楽しみにする。西社長は「彼の感性で地域の人とも連携した音楽活動に期待したい」と話している。(小林祐己)