陸別町、低温殺菌牛乳を製造販売へ
【陸別】町は5月から、町内産の生乳を使った低温殺菌牛乳の製造販売を始める。町の施設で加工し、牛乳販売店を通して宅配を中心に販売する。基幹産業の酪農をPRし、地元消費を進める取り組み。飲用牛乳を自治体が独自に製造販売する取り組みは道内でも珍しい。19日は町内の子供たちが試飲した。
JA陸別町を通して集荷した生乳を、町農畜産物加工研修センターで月1回、65度30分間の低温殺菌し、成分無調整の牛乳を製造する。商品名は「りくべつ低温殺菌牛乳」。200ミリリットル(150円)と900ミリリットル(450円)の容器に入れ、町内の大谷牛乳販売店の宅配や道の駅オーロラタウン93りくべつで販売する。
受注生産が基本で、製造日の4日前までに申し込みを受け付け、新たに設ける毎月の「りくべつミルクの日」に販売する。来春開始する学校給食にも使う計画。道畜産振興課によると、飲用牛乳の製造販売は第3セクターなどの例はあるが「道内自治体が設置から運営までを行うのは聞いたことがない」という。
同町は酪農が盛んだが、生産された生乳は町外の工場に運ばれ、町民が陸別産の牛乳を飲んだり加工に使ったりすることができなかった。消費期限が短い低温殺菌牛乳は大手の参入が少ない分野で、町は「基幹産業の酪農を町ぐるみで応援する取り組み」(産業振興課)として事業化に着手。今年度は約5000万円をかけて同センターを増築し、1回で約200リットル処理できる殺菌機などの設備をそろえた。保健所から乳製品製造業などの許可を受けた。初年度は200ミリリットル容器換算で4000本の製造を見込む。
19日は町内の保育所、小・中学校で子供たちが試飲した。陸別小学校(横山徹校長、児童94人)では昼食時間に飲んだ。1年生の北川祐希君(7)は「家で飲む牛乳よりちょっと甘い気がした」と話していた。
町は「まろやかな味で牛乳本来の風味がある。乳製品や菓子など加工原料としても用途が広がってくれればいい」と期待している。初回の販売は5月2日。問い合わせは同課(0156・27・2141)へ。(安田義教)