生花苗沼に「御神渡り」出現 大樹
これぞ神の道-。厳寒期に入った大樹町の生花苗沼に「御神(おみ)渡り」が出現している。湖沼面から30センチほど盛り上がった氷塊があちこちでつづらを折って沼を縦横断し、神秘的な光景を生み出している。
御神渡りは、湖沼面の氷が割れ目に沿って盛り上がる自然現象。気温の変化で氷が膨張と収縮を繰り返すという、複雑なメカニズムで起こるとされている。長野県最大の湖「諏訪湖」が有名で、「諏訪大社上社の男神が、下社の女神のもとへと渡る恋の道」という言い伝えがある。
生花苗沼では、十勝ならではの「しばれ」の影響で毎年のように起きているとみられる。ただ、雪に閉ざされ、表に顔を出すことはあまりない。今年は例年にない少雪が“神のみぞ知る道”を導き出した。
多くの写真愛好家が訪れ、朝日との“競演”などをカメラに収めている。11日早朝には、野外体験事業などを展開する南十勝長期宿泊体験交流協議会(STEP、会長・伏見悦夫大樹町長)の「極寒つるつるキャンプ」(10~12日)の一環で、小学生約15人が沼を散歩。御神渡りを初めて目にした藤井まゆさん(音更駒場小6年)は「神様も真っすぐ歩けないんですね」と、不思議な光景に目を丸くしていた。
同沼の御神渡りは、全面結氷している3月上旬ごろまでは見られるという。(文・関根弘貴、写真・塩原真)