車いすラグビー上野さん、日本代表強化育成選手に
帯広市の車いすラグビー選手・上野文士(ふみと)さん(30)=北海道Big Dippers(ビッグディッパーズ)所属=が日本ウィルチェアーラグビー連盟の強化育成選手に道内から初めて選ばれ、21~23日に茨城県で行われる日本代表チームの強化合宿に参加する。事故で頸椎(けいつい)損傷を負い、国内の同競技選手の中でも最も重い障害クラスの上野さんだが、競技を始めて8年間、市総合体育館などで黙々と練習に励んできた成果が認められた。上野さんは「2016年のリオデジャネイロ・パラリンピック(ブラジル)出場を目指す」と目標を力強く語る。
上野さんは帯広北高などで活躍した元サッカー選手。19歳のときに事故で四肢まひになり、座位保持が困難で握力も失ったが、入院先の道中央労災病院せき損センター(美唄市)で車いすラグビーを知り、2005年、道内の選手でつくる北海道Big Dippersに加入した。
同チームは日本代表エースの池崎大輔選手(札幌)をはじめ、旭川、滝川、美唄、室蘭の7選手と上野さんが所属。道東の選手は上野さんただ1人だ。チームの練習は毎週末に札幌か岩見沢で行われ、上野さんは自ら車を運転して参加。このほか、毎週火曜日午後の帯広市総体での「障がい者スポーツ練習会」、帯広の森市民プール・スインピア2階の走路での自主練習に打ち込んできた。
今年1、2月の強化指定選手選考会(埼玉県)では選考から漏れたが、その後、第15回日本選手権(来年1月)に向けて今年10月に行われた予選リーグ(栃木県)では、ディフェンスでの素早い動きと強いアタックを見せる上野さんが評価され、日本代表(強化指定選手、14人)に次ぐ育成選手(4人)の1人に選ばれた。道内からの選出は強化指定の池崎選手に次いで2人目、育成枠では初の快挙となる。
上野さんは「自分より障害の軽い選手をガツンと止められるのが競技の魅力。強化指定に選ばれるように頑張る。日本代表になれば、来年6月のカナダカップ、8月のワールドカップ(デンマーク)などがある。パラリンピック出場の夢をかなえたい」と、仕事を終えた後のトレーニングに全力を注いでいる。
(横田光俊)