進化するエコトロッコ まちマイ新得編
カタン、カタンとレールの「継ぎ目」を感じながらペダルをこげば、気分はすっかり運転士気分だ。旧国鉄時代に機関区・保線区があり“鉄道の町”として栄えた新得。NPO法人旧狩勝線を楽しむ会(竹田英一理事長)が、狩勝高原の旧新内駅構内で営業する「エコトロッコ」は、そんな町の背景を味わいながら、子供から大人までが楽しめる人気スポット。毎年少しずつ進化しているのも魅力の1つだ。
「今年の変化はちょっと地味かもね」と笑うのは同会の“新内駅長”こと奥田善弘さん。2008年から営業するトロッコは、コースや保線用軌道自転車を改造した車両に現在も手を加え続けている。今年は警笛と安全装備のバンパーを車両に追加した。昨年は開閉式の踏切を設置した他、トンネルを旧狩勝線の「新内トンネル」風に改修した。すべてメンバーの手作りだ。
そして究極の進化である「動力付き車両」も、同会で技術部門を担当する増田秀則さんが製作中だ。電動式の動力機構そのものから開発を進め、運転体験ができる車両を目指している。「来年は動力付き車両と、屋根付きの足こぎ式車両が登場する予定。トロッコは他の町にあっても、ここまで変化し続けているのはここだけ」(奥田さん)と自負している。
訪れる人の8割はファミリー層だが、カップルや鉄道ファンなど幅広い層から愛されている。毎回新たな発見がある楽しさもあってリピーターも獲得し、年間乗車数は昨年初めて1万人を突破した。「どこも町おこしが目的でやっているが、ここは鉄道好きが楽しんでやっているからね」と、6年目を迎えてもマンネリとは無縁だ。
国道38号狩勝峠3合目付近が入り口。料金は大人600円、小学生以下(3歳以上)300円。運行時間は午前9時半~午後4時半。9月までは毎日運行、10月は土・日、祝日に営業する。問い合わせは奥田さん(070・5043・5192)へ。(古川雄介)