農に向き合う~農業経営部会会員紹介「帯広・ベジナ中村農場」
1.帯広市街地近郊で長ネギ、タマネギ生産
帯広市の市街地に近い稲田町で農業を営む。入植して4代目。17ヘクタールの畑で、長ネギ、タマネギ、小麦を生産する。先代で分家したこともあって作付面積は、十勝管内の平均より少ない。土地は札内川に近い沖積土にある。「その分、収益性の高い作物に切り替えた」と中村正信代表。先代でタマネギを始め、中村代表の代になってから長ネギも加わえた。今ではこれらの野菜が経営の中心。地元だけでなく、関西の百貨店系列の大手スーパー、愛知県内の中堅スーパーに販路を広げた。
2.おいしさの一つは土づくり
畑の土を毎年土壌分析し、診断結果を施肥計画にフィードバックする。過剰施肥を控えることで、土本来の力が回復して作物も元気に育つ。土を団粒化し、ふっくらと柔らかくするために海藻粉末も使っている。今年の十勝は6月の天候不順で畑作は苦労した。ただ中村代表は「タマネギにとって厳しい年だったが、うちの収量は平年並みかそれ以上だった」と振り返る。その理由の一つに考えられるのが土づくり。「今まで専門家に土壌分析を頼み、過剰施肥にならないよう手をかけてきた。最近は(農業が)上手になってきたかな」と謙遜する。
3.同友会で経営と土づくり学ぶ
土づくりの大切さを知ったのは同友会の仲間からだった。「SRU」と呼ばれる土づくりのグループに誘われて、考え方が大きく変わった。その土に合った効率的で効果的な施肥を行うことで、育てた作物の収量や品質が向上し、コスト削減にもつながる。スーパーで重視される店頭での日持ちも長くなった感覚を持つ。経営の部分でも勉強会に参加して財務を学んだ。同友会のつながりで管外の販路拡大もできた。中村代表は「良い作物を育てる『ものづくり』は大事だけど、販路と財務も含めてどれが欠けてもいけない。その大切さを同友会で学んだ」と語る。
4.「人生残りはロスタイム」
事務所のパソコンのデスクトップには「人生残りはロスタイム」との言葉が。1日1日を大事に農業を営もうとの気持ちがにじむ。現在は農作業の多くは長男が担当し、中村代表は経理や渉外関係を担っている。「息子がもう少し経営を勉強したら引き継いで、自分は独立して何かしたい。加工か別の仕事か、それまでに考えるよ」と笑った。
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