農に向き合う~農業経営部会会員紹介「清水・十勝スロウフード」
1.牛とろ丼、グルメイベントの常連に
フレーク状の冷凍牛肉を熱々のご飯に載せ、山わさびじょうゆなどを掛けて味わう―。十勝スロウフードの主力商品「牛トロフレーク」。熱で溶けた脂身と赤肉のうま味が特徴で、「十勝牛とろ丼」は全国のご当地グルメイベントの常連。都内で開かれる野外フードフェスティバル「満腹博覧会」では過去2年連続で総合1位、全国ご当地どんぶり選手権では16、17年が3位、18年は準グランプリの実績がある。
清水町内の牧場「ボーンフリーファーム」の加工品だったが、工場長を務めた藤田氏が2003年に独立。早くから通販にも取り組んだ。「(グルメイベントに出ることで)認知度が上がって飲食店などから引き合いが増えた」といい全国に販路を広げている。
2.見た目と口どけ追求
牛とろフレークに使う牛肉は専属で提携する清水町内の牧場から仕入れる。牛はホルスタインの雌牛が基本。えさは牧草などの素飼料、でんぷんかすなどを中心に与えている。当初は和牛やF1(交雑種)も使っていたが、独立後はホルスタインの雌牛に変更。雌の肉はきめが細やかで、素飼料を食べさせると赤味肉の色が濃く口どけが良い特徴があるという。仕入れ価格も抑えられる。藤田氏は「牛とろに脂身はそんなにいらない。牛を健康に育てることで、肉の色が濃く、脂肪の融点が低くなる」とこだわりを語る。
3.農商工連携の場に
同友会の農業経営部会に入り、十勝の農業者とのつながりが拡大。「非常に良い経営されている人が多くて会えるだけでも勉強になる。十勝農業の可能性を垣間見れる」と話す。加工業者の立場での参加で、「僕らからも何かしらの情報提供ができれば」とも。原材料を加工して付加価値を高めて出荷する、という地域課題に対する自身の役割を話す。同友会では他の部会での活動も積極的。「『同友会で教わってよかった』という思いを次の世代にも感じてもらいたい」と話す。
4.商品ラインナップを増やしたい
牛とろ以外に、近年はハンバーグやソーセージなど加工品の種類を増やしている。牛とろに使う以外の部位の有効活用が理由の一つ。「元々は牧場から始まった会社、商品なので、1頭1頭を大切に加工して販売していきたい」と語る。ハンバーグは食肉加工品の審査会で銀賞も受賞するなど評価が上昇中。常温販売の商品などさらに商品ラインナップを広げていくのが今後の目標だ。5月には、藤田氏の発案で9月16日を「牛とろの日」と定め、日本記念日協会の認定を受けた。「面白いことが好き。地元を盛り上げることを考えたい」と登録後初めての今年は町内でイベントを企画している。
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