農に向き合う~農業経営部会会員紹介「帯広・トヨニシファーム」
1.おいしい牛肉を食卓へ
帯広市市街地から南に約15分。畑作地帯のまん中に、牛舎が立ち並び、約5000頭の肉牛が飼育されている。主力の「豊西牛」はホルスタイン雄牛で、赤みで脂身が少なくヘルシーなのが特徴。牛舎や餌など牛が暮らす環境をこまめに管理し、牛にストレスをかけずに、のびのびと健康的に育てる。
2年前からは本格的に加工に乗り出し、厚切りステーキやハンバーグを販売。外食店への卸売りや通信販売を行い、カルビ串焼きは物産展やイベントの常連だ。小倉氏は「生産から加工まですることで、本当においしい牛肉を消費者に届けることができる」と語る。
2.6次化の意義は新たなつながり
牧場には百貨店や食品会社などからの視察が増えたが、昨年は札幌市内の飲食店の従業員も訪れた。牧場のスタッフと一緒に焼肉を囲んだ。生産地に来てスタッフと交流することで新しい発見をしてもらう。店での客に対する説明内容が変わり、「おいしい」のひと言はお金ではないやりがいになると期待する。
牧場スタッフも同じで仕事への意欲につながる。「6次化は中間マージンを無くすことでもうけるのがメリットではない。新たなつながりで新しい発見や『やりがい』が生まれ、全体がプラスになっていくことが大切」と、その意義を熱っぽく話す。
3.同志との活動が楽しみ
同友会には後継者でつくる「あすなる会」に入ったのがきっかけ。「当時は38歳で社長になる年だった。(経営者として)何が足りないのか知りたかった」。今まで接することが少なかった農業以外の業種の人たちと交流する中で、法人経営の知識や意識を高めたいと考えた。社長に就任した後は農業経営部会に参加。現在は幹事長を務めている。「牧場で1人でやっているよりも、同じ方向を向いている仲間と活動するのがいい。人生も楽しくなる」と話す。野菜や乳製品の生産者らとの人脈ができ、互いに情報交換したり、一緒に十勝産品のアピールにつなげている。
4.和牛改良に可能性
ホルスタインの雄牛や交雑種(F1)だけでなく、頭数はまだ少ないが黒毛和牛も飼育する。十勝和牛振興協議会にも参加。ブランド牛「十勝和牛」を出荷している。小倉氏が最近、力を入れているのがその和牛の改良。雄牛と雌牛の掛け合わせを研究し、市場で受けた評価を検証し、次の研究につなげる。「どの牛の組み合わせがいいのか、考えていくことに可能性や面白みを感じている」。霜降りなどの肉質、肉量が優れ、より生産性の高い肉牛生産を目指している。
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