太りすぎを防ぐ和牛の栄養管理
道総研 中央農業試験場 病虫部 予察診断グループ
１．背景と目的
近年北海道内でジャガイモ Y ウイルス（PVY）の塊茎えそ系統（PVY-NTN）の発生が広く認められているが、道内生産現場では塊茎えそ症状の発生がこれまで確認されておらず、また、地上部の病徴についての知
見も少なく、不明な点が多い。そこで、主要品種の PVY-NTN に対する抵抗性および代表的な病徴、塊茎えそ症状の発生する条件、北海道内で今後塊茎えそ症状が問題となる可能性を明らかにすることを目的に試験を
実施した。また、ウイルスの系統識別はエライザ等の簡易な方法では困難であり、煩雑な手法が必要であるため、簡易な検出法の開発を行った。
２．試験の方法
１）ポット試験における PVY-NTN の茎葉における病徴調査
２）圃場試験における PVY-NTN の病徴調査
３）塊茎えそ症状発生要因の解明
４）PVY-NTN の簡易判別法の開発
３．成果の概要
１）ポット試験における PVY-NTN の病徴は、「男爵薯」では病徴が不明瞭になりやすかった。「農林１号」と「トヨシロ」では概ね明瞭な病徴が認められた（表１）。「農林１号」、「トヨシロ」では上葉のえそを伴うことがあった。PVY-N と PVY-O に対して抵抗性である「コナフブキ」では、PVY-NTN も接種葉の局部感染にとどまった。
２）露地網室圃場試験における PVY-NTN の茎葉部病徴を表２に示した。2018年試験の接種当代では「男爵薯」で病徴が不明瞭、「アーリースターチ」では無病徴となったが、接種次世代の病徴は明瞭であった（データ
省略）ことから、種いも生産現場での抜き取りは可能であると考えられた。ただし、年次や接種世代により病徴が不明瞭となる場合があることから、抜き取りは感染世代を問わず丁寧に実施する必要がある。
３）PVY-NTN 接種による塊茎えそ症状は、収穫時には認められなかったが、一部の年次、品種で貯蔵後に認められた。また、接種により収穫時の塊茎に溝を伴う裂開様の肥大異常を生じることがあった。これらの被害を回避するためには、健全種苗の使用や適切な媒介虫防除により PVY の感染を抑える必要がある。
４）道外で塊茎えそ症状の発生が多いとされている「ニシユタカ」で塊茎えそ症状が発生しやすい条件を検討したところ、収穫時期による塊茎えそ症状の多少は判然としなかった。収穫後の貯蔵温度を４℃とした場合、25℃貯蔵よりも発生割合は低かった（表３）。道内採集の PVY-NTN によっても塊茎えそ症状が発生するが、健全種苗を使用し、適切な貯蔵温度で管理する限り、本症状が問題となるリスクは低いと推察される。
５）RNA 抽出工程が不要な RT-LAMP 法により PVY 各系統の識別が可能であった。
４．留意点
１）種ばれいしょ生産現場でのウイルス株抜き取りに際しての情報として活用する。年次や感染世代により病徴が不明瞭となる場合があるため、感染世代を問わず注意して抜き取りを実施する。
２）塊茎えそ症状によるリスクを回避するための適切な栽培管理方法として活用する。
３）茎葉部の病徴や塊茎えそ症状の写真は北海道病害虫防除所のホームページに公開している。
４）RNA 抽出工程を省略した RT-LAMP 法は、各試験場での迅速な診断に活用できる。
詳しい内容については、次にお問い合わせください。
道総研中央農業試験場 予察診断グループ
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