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ブロッコリー黒すす病の上手な防ぎ方

道総研 中央農業試験場 病虫部 病害虫グループ

1.背景と目的
 道内のブロッコリー栽培において、花蕾での症状が花蕾腐敗病と似ている黒すす病による出荷物の歩留まり低下が問題となっている。比較的新しい病害で知見に乏しいため、道内における発生生態解明とともに、効率的な防除対策確立に取り組む必要があった。
 本課題は黒すす病による被害を軽減するため、道内における本病の発生生態を明らかにし、本病の特徴に応じた効率的な防除対策を確立することを目的として取り組んだ。

2.試験の方法
1)現地の発生実態調査(石狩・空知・胆振)
2)黒すす病の特性調査(発生推移、品種間差、残渣の影響、被害解析)
3)薬剤散布による効率的な防除対策の検討

3.成果の概要
1)7月どり~10月どり作型を対象に本病の発生状況を調査した結果、7月どりおよび8月上旬に収穫する作型では花蕾での被害が認められず、本病に対する防除は不要と考えられた。これに対し、8月中旬以降に収穫する作型では花蕾での被害が認められ、防除対策が必要であった(表1)。

2)8月中旬以降に収穫する作型では概ね定植1ヶ月後頃(葉数12枚前後)に下位葉に初発が認められ、それ以降の生育後半の1ヶ月で急激に病勢が進展した(図1)。

3)接種条件下では道内主要品種「ピクセル」、「おはよう」、「SK9-099」、「スターラウンド」の間に発病の差は認められなかった(データ略)。

4)収穫後の残渣を放置した場合、すき込んだ場合に比較して跡地での胞子飛散量が多かった。隣接して栽培される作型への感染リスクが高くなることから、収穫後速やかに残渣をすき込む事が望ましい。

5)花蕾形成始頃(花蕾形成始期~形成揃期)の中下位葉での発病程度が高いと収穫時の花蕾の発病が多い傾向にあり(図2)、花蕾形成始頃までの葉の発生量抑制が花蕾被害軽減につながると考えられた。
【用語説明】本試験での生育ステージについて
 “出蕾”:露出した花蕾の径が2~3cm の状態
 “花蕾形成始期”:ほ場内の30~40%の株が出蕾した状態
 “花蕾形成揃期”:ほ場内の70~80%が出蕾した状態

6)アゾキシストロビン水和剤 F、ピラクロストロビン・ボスカリド水和剤 DF、ペンチオピラド水和剤 F、ピラジフルミド水和剤 F は花蕾発病に対する防除価が90~98と、いずれも高い防除効果が認められた。特定農薬の重曹や食酢は効果が認められなかった(データ省略)。また、カルシウム資材施用の本病に対する発病軽減効果は認められず、発病の助長も認められなかった。

7)定植30日後散布は、同40日後散布に比較して花蕾形成始頃の発病葉率を低く抑えた。ただし、この時期の発病葉率を抑えるだけでは花蕾の被害を回避できず、花蕾形成以降の防除も必要であった。

8)8月中旬以降に収穫する作型では、「定植30日後と花蕾形成始頃」の2回散布は、甚発生条件下であっても防除価概ね70以上の効果が得られ(表2)、可販化率(=100-発病花蕾率)も概ね7割以上であった。気象や虫害等で生育が停滞し花蕾形成始期が遅れ、結果的に収穫が遅れると、防除効果はやや低くなる傾向にあった。

9)以上の事から、本病の防除適期は「定植1ヶ月後(花蕾形成始頃の伝染源低減)」と「花蕾形成始頃(花蕾感染予防)」とした。

4.留意点
1)ブロッコリー栽培における黒すす病対策に活用する。



詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研中央農業試験場 病害虫グループ
電話(0123)89-2001
E-mail:central-agri@hro.or.jp

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