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多雪地で越冬性に優れるペレニアルライグラス「KSP1403」

酪農試験場天北支場 地域技術グループ
北海道農業研究センター 作物開発研究領域 飼料作物育種グループ
酪農試験場 草地研究部 飼料生産技術グループ
畜産試験場 畜産研究部 飼料生産技術グループ
北見農業試験場 研究部 馬鈴しょ・牧草グループ

1.試験のねらい
 ペレニアルライグラス「KSP1403」は、晩生で、放牧を模した多回刈り条件下における収量性は「ポコロ」と同程度であるが、とりわけ道北・道央の多雪地において「ポコロ」より越冬性に優れる。

2.試験の方法
 「KSP1403」は、雪印種苗株式会社北海道研究農場と酪農試が、6栄養系の交配による合成品種法により育成した新品種である。平成27年~29年に、雪印種苗株式会社北海道研究農場(長沼町)ならびに道東の試験圃(芽室町、別海町)において、場外予備検定試験を実施し、越冬性と収量性に優れたことから、平成30年~令和2年に、道内5場所(北農研センター、酪農試天北支場、畜試、酪農試、北見農試)において品種比較試験を実施した。その結果、特に道北、道央の多雪地帯において、標準品種「ポコロ」と比較して、収量性は同程度であるが、越冬性に優れることが明らかになった。

3.成果の概要
 標準品種「ポコロ」と比較した特性は次のとおりである。
1)早晩性:出穂始が標準品種より4日遅く“晩生”に属する(表4)。
2)越冬性:越冬性は優れる(表1、4)。早春の草勢はやや良好である(表1)。雪腐大粒菌核病、紅色雪腐病の罹病程度は低い。雪腐病に対する抵抗性は“やや強~強”、耐寒性は“やや強”で、いずれも「ポコロ」よりやや優れる。
3)収量性:3カ年(1-3年目)合計、2カ年(播種後2、3年目)合計の乾物収量は、いずれも同程度である(表2)。年次別の合計乾物収量は、1年目がやや少ない傾向にあるが、2年目は同程度、3年目は同程度かやや多い傾向にある。季節別の乾物収量は、春が同程度かやや多く、夏と秋はいずれも同程度である(表3)。
4)永続性:2年目収量に対する3年目収量の指数は同程度である(表1)。秋の被度は同程度である。雑草の侵入はやや少ない傾向にある。
5)耐病性:葉枯性病害の罹病程度は少ない(表1、4)。
6)出穂程度:同程度である(表1)。
7)草丈:同程度である(表1)。
8)秋の草勢:同程度である(表1)。
9)兼用利用適性:同程度である(表4)。

4.留意点
1)適応地帯は、道北、道央、道南である。
2)主として放牧で利用する。1番草を採草し、その後放牧する兼用利用も可能である。土壌凍結地帯での栽培は避ける。
3)種子供給の開始は令和7年を予定している。


詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研畜産試験場 畜産研究部 飼料生産技術グループ 藤井弘毅
電話:0156-64-0621
FAX:0156-64-6151
E-mail:fujii-hiroki@hro.or.jp

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