スター街道へ飛躍となる2022年~キタノユウジロウ~
ばんえい競馬の花形といえば、やはり古馬たちがしのぎを削る3月の「BG1ばんえい記念」を頂点とした高重量戦。冬場は各馬の基礎重量が増加され、年度末に向けて毎週ハードな戦いが繰り広げられる。
そして、年明け早々には伝統の重賞競走「BG1帯広記念」(2022年1月2日)が開催される。各馬900キロ前後の負担重量で行われる大一番で、念願のビッグタイトル獲得を狙っているのが昨シーズンのばんえい記念(2021年3月)2着馬のキタノユウジロウだ。
同馬は、前回のばんえい記念には、古馬本格参戦初年度となる6歳で挑戦。優勝したホクショウマサル、ばんえい記念3Vのオレノココロ、数々の重賞タイトルがあるコウシュハウンカイなどの名馬を相手に真っ向勝負を挑んで、しっかりと結果を出した。
管理をする村上慎一調教師(50)は、キタノユウジロウを「ふだんは(馬体が)大きいのに気が細かい(神経質)」と評しているが、毎回レース前のパドックでは威風堂々と構えて悠然と周回。村上師も「レースではなぜだかいつものんびりしている」と話す。
オンとオフの切り替えが上手な競走馬なのだろう。数々のタイトルを獲得した実績上位の馬たちが重い荷物曳いて競う古馬のオープンクラスでは、気性面もレース結果に大きな影響を及ぼす。キタノユウジロウの実戦での強さの秘訣は“泰然自若”とした性格面なのかもしれない。
とはいえオフにいつも見せる敏感な部分がレースで出ないよう、村上師は常に細心の注意を払いながら日々の調整を重ねている。今季も夏場の調子を崩し、直近もやや状態面で不安を抱えた時期もあったが、決して馬の気分を損ねることなく、じっくりと動きが良くなるのを待った。きゅう舎の看板馬としてスタッフが一丸となって大舞台に送り出す構えだ。
注目の帯広記念は、メムロボブサップ、アオノブラックといった勢いある明け6歳勢にスポットが集まるが、この馬もまだまだ若い明け7歳。今回の手綱は前回のばんえい記念でコンビを組んだ若手ホープの菊池一樹騎手に託す。村上師は「相性がいい騎手だし、若い勢いにかけてみたい」と同騎手起用の理由を説明。「重い荷物を曳かせるだけでなく、軽めにして長く乗ってみたり、調教のやり方をいろいろ変えてみながら(この馬の)正解を見つけたい」と2022年の年明け、全国のトップを切って行われる“GⅠ”競走を心待ちにしている。
<キタノユウジロウ>
父:カネサテンリュウ
母:ヒカルロマン
2015年4月25日生 北海道足寄町産駒
村上慎一きゅう舎
牡6歳
通算113戦22回(重賞3勝)
重賞タイトル:北斗賞BG3(21年)はまなす賞BG3、銀河賞BG2(ともに19年)
※2021年12月30日現在