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酪農場のデータを使って乳牛の健康状態を改善する

道総研酪農試験場 酪農研究部 乳牛グループ

1.試験のねらい
 牛群検定、家畜診療およびクミカンデータ(以下営農情報)を活用し、酪農場の収支または乳生産に悪影響を及ぼす周産期の健康状態に関する指標(以下健康指標)の選定を行う。同時に現地酪農場の実態調査を行い、選定した健康指標に関連する飼養管理上のリスク要因の選定も行う。これらの結果を用い、酪農関係者が簡易に周産期管理の問題点を把握可能なモニタリング法の提示を行う。

2.試験の方法
1)酪農場のクミカン収支および乳生産等に悪影響をおよぼす周産期の健康指標を選定するために、草地型酪農地帯 A 農協管内76戸(放牧以外)の分娩後56日以内における死亡による廃用(以下死廃)の発生割合と、クミカン収支および305日乳量平均との関係を調べる。

2)周産期の健康状態をモニターするため、周産期において重点的に監視すべき項目を選定する。

3)周産期の健康状態の悪化を予防または予測するために、分娩までの牛の状態および周産期の飼養管理を調査し、1)において選定した健康指標を悪化させる飼養管理に関連したリスク要因を明らかにする。

3.成果の概要
1)分娩後56日以内の死廃割合および第四胃変位治療割合が増加するとクミカン収支は減少した(データ略)。また死廃割合が増加すると牛群の305日乳量が低下した(表1)。周産期における健康状態の指標として、牛群検定で容易に確認できる死廃割合が適当であると考えられる。

2)牛群における死廃割合と関連のある他の項目は、①初回検定時の乳脂肪率異常(乳脂肪率≧5%)割合、②同乳中の体細胞リニアスコア(以下リニアスコア)異常(リニアスコア≧5)割合および③死産割合であった。

3)牛群検定および家畜診療データにおいて、牛個体における死廃の発生と関連があった項目は、①初回検定時の乳脂肪率およびリニアスコア異常、②分娩後56日以内の乳熱治療、③同ケトーシス治療、④同第四胃変位治療および⑤産褥熱治療であった(図1)。

4)乾乳期から分娩までの牛の状態で死廃に関連する事象のリスク要因は、①過肥(ボディーコンディションスコア、BCS ≧3.75)、②牛体の汚れ(衛生スコア≧4)、③跛行あり(跛行スコア≧3)、④飼料摂取量不足(ルーメンフィルスコア、RFS ≦2)、⑤飛節スコア≧3、⑥双子および⑦難産であった(図1)。

5)周産期の飼養管理において死廃に関連する事象のリスク要因は、①分娩前の牛移動回数、②乾乳期および分娩場所における休息場所の状態、③乾乳期の飼槽幅、④産褥牛(分娩後3週間)への監視の有無であった(データ略)。周産期における死廃関連項目のリスク要因を図1に整理した。
 以上の結果をもとに、営農情報を活用した周産期飼養管理モニタリング法の運用方法を図2に示した。

4.留意点
1)草地型酪農地帯で牛群検定と家畜共済を利用し、放牧以外の酪農場のデータを用いた。






詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研酪農試験場 酪農研究部 乳牛グループ 小山 毅
電話(0153)72ー2004 FAX(0153)73ー5329
E-mail:koyama-takeshi@hro.or.jp

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