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乾乳期の乳牛はこうして飼おう! (研究成果名:乳牛の周産期疾病低減を目指した乾乳期飼養管理法)

道総研 酪農試験場 酪農研究部 乳牛グループ、地域技術グループ

1.試験のねらい
 乳牛は分娩前後の「周産期」に疾病が発生しやすく、周産期疾病は乳用成雌牛の死廃理由の26% を占める(北海道、H28年度)。周産期疾病の主なリスク要因は乾乳期の過肥と分娩前後の飼料摂取量の低下であるが、それらのリスクを低減する網羅的な飼養管理法は明らかではない。本課題では、乳牛の周産期疾病低減を目指し、乾乳期間における適切な飼養管理法を提示する。

2.試験の方法

1)適正な乾乳期間の設定
 全道(H26年1月~H28年9月、約47万頭分)および根室管内120戸(約5万頭分)の牛群検定成績等を用いて、乾乳期間と次産次の乳量および周産期疾病を検討し、適正な乾乳期間および乾乳期間を短縮できる条件を検討した。

2)乾乳期の飼料設計
 酪農試験場の乳牛延べ104頭(初産47頭、2産以上延べ57頭(3.2±1.2産))を供試し、分娩前後の過肥および飼料摂取量の低下を抑える乾乳期間および乾乳期の飼料養分濃度を提示した。十勝管内の酪農場1戸において、乾乳期の管理が過肥と次産次の乳生産に及ぼす影響を調査した。

3)乾乳期の施設と管理
 酪農試験場および根室管内の酪農場23戸において、周産期疾病の発生リスクが少ない乾乳期の飼養施設と管理方法を提示した。

3.成果の概要

1)乾乳期間が36~55日の場合、慣行的な56~65日と比較して次産次305日乳量は低下したが、前産次の泌乳延長分の乳量を加えた総乳量は同程度であった(表1)。また、分娩後56日以内の第四胃変位およびケトーシス治療のオッズ比は低下した(表1)。乳生産、周産期疾病発生のリスクおよび泌乳末期の養分充足率を考慮すると、分娩前60日直前の乳量が初産で18kg/ 日以上、2産以上で20kg/日以上であれば乾乳期間の短縮が適用できる(表2)。乾乳期間は慣行的な60日間だけでなく、36~65日程度の幅を持って設定可能である。

2)2産以上では、乾乳期間を40日に短縮し、低 TDN 飼料(TDN62%DM、正味エネルギー(NEL1.4Mcal/kg))で一群管理すると、次産次の乳量を低下させることなく、分娩前のエネルギーの過剰による過肥を抑制し、分娩後の体脂肪動員を抑制できる(表3)。初産牛では乾乳期間の短縮は可能だが、低 TDN 飼料では次産次の乳量が大きく低下するため、TDN68% DM(NEL1.6Mcal/kg)の飼料の給与が推奨される。優良事例では、乾乳期間を初産60日、2産以上を45~50日とし、低 TDN 飼料の給与により過肥を抑制する傾向にあった(データ略)。

3)周産期疾病低減のためには、分娩施設はフリーバーン形式で、休息場所の1頭当りの面積は13m2以上、敷料は麦稈で厚さ15cm 以上(マットの厚さ3cm 以上の場合は敷料の厚さは8cm 以上)が望ましい(表4)。また、乾乳施設と分娩施設が別の建物で離れた場所にある場合、分娩前の移動による乾物摂取量の低下が大きいため、分娩兆候が認められてから移動することが推奨される(データ略)。

4.留意点
1)本成績をもとに乾乳期管理マニュアルを作成する。
2)酪農場や普及センター等の支援機関が乳牛の乾乳期管理における乾乳期間の設定、飼料設計および施設設計に活用できる。







詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研酪農試験場 酪農研究部 乳牛グループ 谷川 珠子
電話(0153)72ー2004 FAX(0153)73ー5329
E-mail:tanigawa-tamako@hro.or.jp

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