医療の中核、全容 新厚生病院が初公開
帯広厚生病院(菊池英明院長)は23日、11月にオープンする新病院(市西14南10)を管内19市町村長やJA関係者、報道などに初公開した。十勝と道東医療の中核を目指した新病院は、医師150人をはじめとする職員1500人が能力をフルに発揮し、患者が静かに療養できるよう環境を全面刷新。最新鋭の設備、システムを導入し、高度急性期医療のレベルアップを図った。(奥野秀康)
設備や環境 最新鋭に
厚生病院は11月1日に現病院(西6南8)から新病院に移転し、同5日に外来診療を始める。現病院は増改築を繰り返し、東西南北4棟と南側の玄関ホールに分かれた複雑な構造の建物(延べ床面積5万平方メートル)になっていたが、新病院(同6万3500平方メートル)は南北の2棟を中心にスタッフと患者が過ごしやすいよう受け付け機能や動線を全面的に見直した。
新病院について、菊池院長は「待ち時間の短縮まではなかなか難しいものの、患者の皆さんが院内のどこにいても診療の進み具合を把握できる工夫をした。医師、看護師の働きやすい環境も構築できた」と話す。
病床数は現病院に対し97床少ない651床。ただ、完全個室を101床から335床に増やし、入院患者の療養環境も快適にしている。また、終末期の患者が残りの時間を豊かに過ごす緩和ケア病棟も新設した。
救急救命・災害対応では、地上88メートルの高さにある屋上ヘリポートから1階の救命救急センターまで直結のエレベーターを設置したり、停電が起きても3日間にわたって病院の電力をフルに賄う自家発電設備を導入したりし、機能強化を図った。
23日の施設公開では、19市町村の首長と議会議長ら40人、JA関係者100人が新病院を見学した。27日には連携医療機関向けの内覧会が行われる予定。
免震不正あれば「早急に交換を」
JA道厚生連会長
JA北海道厚生連の西一司会長は23日、新病院の公開に合わせて会見し、KYB製の免震部品に万一、不正があれば、早急に交換を申し入れる方針を明らかにした。現在は建設会社、設計会社を通じて状況確認を行っているが、新病院の免震装置に使われたオイルダンパーについて検査データが改ざんされた製品か、23日時点で確認できていない。
西会長は「現在、KYBからは何も連絡がない。国土交通省や第三者機関の調査から震度6~7の地震でも倒壊しない性能が確認できているが、当病院は多くの患者が治療を行う場所。問題があるようなら、一日でも早く交換してもらうようにする」と述べた。