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農業王国で「食育」 特色ある管内校

ジャガイモの苗を用い、児童に教える生徒(帯広豊成小)

 国内屈指の農業王国、十勝。しかし、複数の教育関係者は、畑を見て何の作物か分からなかったり、調理できない児童・生徒が多いと指摘する。飽食の時代、命の大切さや食事に感謝する気持ちを育てる「食育」は重要な学びの一つ。野菜を育てるだけでなく、特色ある食育を行っている学校を紹介する。
(松田亜弓)

帯農高生が出前授業 稲田小・豊成小
 帯広農業高校(二木浩志校長)農業科学科は授業で学んでいることを伝えようと、昨年度から帯広稲田小、今年度からは帯広豊成小を加えた2校で生徒が児童に「食育授業」を行っている。

 今年度は5月に帯広稲田小3年生を招き、機械を使ったジャガイモの植え付け作業を紹介した。

 19日には帯広豊成小に2年生7人、3年生8人が訪問し、小学3年生を前に自作のスライドを用いてジャガイモの歴史や特徴を説明。その後、複数の班に分かれて花茎が長く伸びたジャガイモを囲み、高校生が児童の質問に答えた。

 ジャガイモを根から掘り返すと、小さな“子どもジャガイモ”がたくさんついているのを見て、児童は「すごい」と驚いた表情。高校生は「ジャガイモは根ではなく、ストロンというへその緒と同じような役割のものとつながっていて、栄養が行きわたっている」と説明し、児童は興味深そうに観察していた。

 ポテトチップスが揚げ物だったり、家庭でも作れたりすることなど「知らなかった」と児童は感嘆し、對馬瑚心さん(8)は「お兄さんたちが質問に優しく答えてくれて、ジャガイモが種芋からできることも分かった」と笑顔。高校2年生の林恭平さん(16)は「自分では理解していることを、小学生に分かりやすく伝えることは大変だった。新鮮な体験だったし、改めて自分も学びを振り返ることができた」と話していた。

 生徒は、ジャガイモ収穫時期の10月に再び豊成小を訪れ、食育授業を予定している。

地域の食材を使ってシェフが作った料理を味わう児童(帯広愛国小)

教材はシェフの料理 愛国小
 帯広愛国小学校(鈴木義秋校長、児童27人)は昨年度から、全日本司厨士協会帯広支部(加藤和彦支部長)の協力を得て、「食農教育」を充実させている。

 プロの料理人らの講演や調理実習を通じて、食や農業、地域への理解を深めると共に、多方面につながる力を児童に身に付けてもらう狙い。今年度は5月に第1回の授業が行われ、加藤支部長ら会員と児童が一緒にメニューを決定。その後、学校農園にメニューで使うジャガイモやニンジン、カボチャを植え付けた。10月ごろに収穫し、会員と児童が一緒に料理を作る予定だ。

 20日に行われた2回目の授業では、加藤支部長ら会員5人が訪れ、地場産食材を生かしたランチを作った。

 シェフが腕を振るったミネストローネやポテトグラタンなど5品に子どもたちは「おいしい!」と笑顔。食事が終わった後は料理人の仕事について加藤支部長らが話し、「料理人は食材をおいしく食べてもらう仕事。きょうも午前7時から準備した。料理ができるまでには時間がかかる」と伝えた。

 村田由絃(ゆい)さん(4年)は「ミネストローネは野菜たっぷりだったり、全部おいしかった。シェフは昼食を午前11時か午後3時以降に食べることに驚いた。10月に向けて良い作物を育てたい」と笑顔を見せた。

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