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公共牧場において6ヶ月齢の乳用後継牛を昼夜放牧するための条件

根釧農業試験場 研究部乳牛グループ

1.試験のねらい
 公共牧場における受入月齢の早期化および昼夜放牧飼養の低月齢化のため、公共牧場において6ヶ月齢で昼夜放牧を開始するために必要な春の寒冷対策、および初回授精月齢を遅延させない放牧開始時の体重を明らかにする。

2.試験の方法
1 )場内において、放牧未経験の6ヶ月齢程度のホルスタイン種雌子牛14頭を春から昼夜放牧し、放牧開始後1ヶ月間のシェルタ設置の有無が放牧開始直後の発育および放牧期間中の増体量に及ぼす影響を比較する。同時に、シェルタ利用時間に及ぼす気象条件を明らかにする。
2 )場内において、シェルタ設置による寒冷対策をして春から昼夜放牧した放牧未経験の6ヶ月齢程度のホルスタイン種雌子牛の初回授精月齢から、放牧開始時の発育程度(日齢に対する体重)と初回授精月齢の関係を明らかにする。なお、場内では月1回の測定体重350kgかつ体高125cm以上になった時点で発情確認後、人工授精する。
3 )公共牧場(A牧場)において、6ヶ月齢程度の乳用後継牛29頭を春から昼夜放牧し(シェルタ設置)、場内試験から明らかとなった放牧開始時の発育程度と初回授精月齢の関係を現場で検証する。なおA牧場では、畜主が繁殖管理開始を希望する月齢(多くが14ヶ月齢)で体重を測定し、350kg以上となった時点で発情確認後に人工授精する。

3.成果の概要
1 )シェルタあり群における1日1頭あたりのシェルタ利用時間は平均112分であった。放牧開始後1ヶ月間の気象条件とシェルタ利用時間を図1に示した。1日の降水量が多い日や気温5℃以下の時間が多い日に1日1頭あたりのシェルタ利用時間が多かった。重回帰分析の結果、1日1頭あたりのシェルタ利用時間は、1日の降水量が1mm増えると3.2分増加し(P<0.05)、気温5℃以下の時間が1分増えると0.1分増加する(P<0.05)ことが示された。
2 )シェルタあり群およびシェルタなし群の放牧開始後1ヶ月間および放牧期間通じての発育と放牧終了時体重を表1に示した。放牧開始後1ヶ月間の体重減少量は両群とも同程度であったが、1ヶ月間の日増体量はシェルタなし群よりシェルタあり群の方が有意に高かった。放牧期間通じての日増体量および放牧終了時体重は両群で同程度となった。
3 )シェルタあり群の放牧開始時の日齢に対する体重の比(x)と初回授精月齢(y)との関係を図2に示し、初回授精月齢の推定式を算出した。
  y=42.7x2-106.1x+78.4(R2=0.3974)
   この関係式から、初回授精の目標を14ヶ月齢とした場合の放牧開始時の日齢と体重の比は1.052となり、6ヶ月齢(180日齢)では189kgであった。
4 )公共牧場において昼夜放牧した乳用後継牛の放牧開始時の日齢と体重の比と初回授精月齢を図3に示した。公共牧場の牛群でも、放牧開始時の日齢に対する体重の比が1.052より低いと、初回授精月齢が遅延する牛が多かった。





詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研根釧農業試験場 研究部 乳牛グループ 西道由紀子
電話(0153)72-2036  FAX(0153)73-5329
E-mail:nitsimiti-yukiko@hro.or.jp

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