3月出荷に向けた ポテトチップス用馬鈴しょのエチレン貯蔵法
十勝農試 研究部 地域技術グループ
1.背景と目的
北海道産ポテトチップス原料用馬鈴しょの貯蔵では、チップカラーが低下しないように高温条件で貯蔵されるため、収穫翌年の春以降萌芽による加工作業性の低下といもの減耗が問題となっていた。2013年に芽の伸長を抑制する効果を持つエチレンを使用することにより、芽長が短く、チップカラーも良好な原料の長期にわたる出荷が可能になることを示した。しかし、エチレンを使用することにより貯蔵開始後一時的にチップカラーが低下するため、出荷可能になるのはチップカラーが回復する4月以降であった。このため、3月の出荷においてはエチレン使用による萌芽抑制ができないため、この時期における芽長がより短くチップカラーに優れた
原料供給に対して加工メーカーからの要望が高まっている。そこで、エチレン貯蔵において、3月に出荷が可能となる貯蔵条件を確立することを目的に試験を実施した。
2.試験方法
・供試試料:「きたひめ」「スノーデン」
・処理条件:貯蔵温度 慣行8℃
処理区 2012年産 12℃、 2013年産 11℃、 2014年産 10℃
エチレン濃度 慣行区・処理区とも4ppm
・調査項目: 萌芽状態(芽長)、チップカラー(アグトロン値:ポテトチップスの色を表す指標で値が大きい方が望ましい。40以上で原料として使用可能とした。)
3.成果の概要
1 )エチレン使用時の貯蔵温度を10~12℃とすることにより、貯蔵開始後のチップカラーの低下が抑えられ、3月初旬でもアグトロン値40を上回った(図1)。
2 )エチレン使用時の貯蔵温度を10~12℃とすることにより、芽長は慣行区より長くなったが、4月まで20㎜以下に抑えられた(図2)。
3 )以上のことから、エチレン使用時の貯蔵温度を10~12℃とすることにより、芽長が短くチップカラーの良好なポテトチップス用原料を3月に出荷することが可能である(表1)。
4.成果の活用面と留意点
1 )3月出荷向けの加工用(ポテトチップス)馬鈴しょにおいて。芽長を抑制する目的でエチレン貯蔵を行う場合に活用する。
詳しい内容については、次にお問い合わせ下さい。
道総研十勝農業試験場 地域技術グループ
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