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拡大防止へ厳戒態勢 風評被害を懸念 関係業者

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 清水町内の養鶏場で採卵鶏から高病原性鳥インフルエンザが確認されたのを受け、十勝管内の採卵農家は「人ごとではない」と危機感を募らせ、感染拡大を防ぐための防除や衛生管理に気を引き締める。今回発生した養鶏場は管内でも最大規模で、取引があったスーパーでは年末需要期の仕入れ減や消費者への影響など心配も広がる。十勝では初めて殺処分が必要となる深刻なケースとなり、関係者の困惑も大きい。

「人ごとではない」防除対策を強化 管内養鶏場
 「同業者として胸が痛む。鳥インフルエンザはどこで発生するか分からず、人ごとではない」。音更町内のある養鶏場の経営者は事態を重く受け止める。

 管内では今月に入り、上士幌と音更で野鳥の死骸から簡易検査で鳥インフルの陽性反応が相次いで確認された。だが、今回は発生場所が養鶏場で、高病原性という最悪のケース。「気を付けても100%抑えられるものではない。養鶏場の出入り口に消毒の踏み込み板を設置するなど、外部からの感染を防ぐ対策を取るしかない」とする。

 実際、養鶏場は換気のため真冬でも外気を入れなければならない。

 管内の別の採卵農家は「各地での鳥インフル発生を聞き、出荷先からも飼育状況などの問い合わせが多くなっていた」とし、「今まで以上に人や車両の出入りに気を付けながら、衛生管理を徹底する」と気を引き締める。

 クリスマスや年末を控えたこの時期は卵の需要期だが、今回の清水の養鶏場では約21万羽が殺処分されることに。採卵農家からは「品薄になる時期だが、急に生産を増やせるわけでもない」と今後の供給態勢を心配する声も聞かれる。

年明け以降の値上がり懸念 スーパー
 管内のある大手食品スーパーは、今回発生した養鶏業者と取引がある。

 担当バイヤーは「売られている卵は移動・出荷停止前のもの。保健所などからも問題ないと言われており、通常通り販売している。ただ、お客さまからの問い合わせもあり、その旨を掲示するポップを全店に配布した」という。

 さらに、「代替は6~7割程度確保できたが、全量は現時点でできていない。年末期だが、特売の回数を減らすなどの対応を検討しなければならないかもしれない」とした。

 別のチェーンスーパーでは、一部の鶏卵を別の生産者に切り替えて予定量を確保した。
 「年末までは値決めしているので現価格のままで推移すると思うが、品不足などで年明けからは値上がりするかも。今後また発生しないとも限らないので影響が心配だ」(担当バイヤー)としている。

12道県で65件過去最多
 今季国内で、野鳥や動物園で飼育されている鳥などが高病原性鳥インフルエンザに感染した件数は、15日までに12道県の65件に上り、過去最多となっている。
 環境省によると、これまでの過去最多は2010~11年の62件。例年は年明け以降に本格化するという。

 道内では今季、苫小牧市でハヤブサ、北見市でオオハクチョウの感染が確認されている。十勝管内では12日に上士幌町でフクロウ、15日には音更町でハヤブサの死骸から、簡易検査で鳥インフルエンザの陽性反応が出た。現在、高病原性かどうかの確定検査を行っている。

 家きん(家畜の鳥)では新潟県の養鶏場と青森県のアヒル農場施設で、高病原性の感染が発生。合わせて採卵鶏55万羽、アヒル6万5000羽が殺処分された。

 韓国では、H5N6型の高病原性鳥インフルエンザウイルス感染が拡大している。殺処分した鶏やアヒルは1600万羽に達し、危機警報レベルを最高に引き上げている。

食べて感染 事例なし
 高病原性鳥インフルエンザの発生を受け、道は「正確な情報に基づき、冷静に対応してほしい」と呼び掛けている。

 道や厚生労働省によると、鳥インフルエンザウイルスは通常、人に感染することはない。海外で報告されている患者の多くは、家きんやその排せつ物、死体などへの濃厚接触があった。道は、死んだ鳥には触らず、排せつ物などに触れた場合は手洗い、うがいを推奨している。

 鶏肉や鶏卵を食べた人に感染した報告はない。道は、感染した鶏肉が市場に出回ることはないとしている。

<鳥インフル発生 ドキュメント>
■16日
午前10時   清水町内の養鶏場が、死亡鶏約30羽を確認したと十勝家畜保健衛生所に通報。同衛生所の簡易検査でA型鳥インフルエンザ陽性が確認される
午後2時30分 道がA型鳥インフルエンザ陽性の確認を報道発表
同10時    清水町が高病原性の判定に備え、同町体育館に集合場所の開設準備を開始。同衛生所が遺伝子検査を行った7羽の全てで陽性を確認、国に報告
同10時30分 国が高病原性鳥インフルエンザ疑似患畜と判定
同11時    道と十勝総合振興局が対策本部を設置

■17日
午前0時    十勝総合振興局の対策本部が本部会議を開催
同6時30分  陸自第5旅団が災害派遣で清水町に出発
同8時     清水町体育館で自衛隊が殺処分作業に必要な物品を準備
同10時    自衛隊員や道職員らが発生養鶏場に殺処分に必要な物品を搬入。さらに、清水と新得の計10カ所に消毒ポイント用の物品を準備
正午      殺処分作業を開始


◆関係機関の高病原性鳥インフルエンザに関するサイト
対策、相談窓口など各種情報(PDFリーフレットダウンロード)-十勝総合振興局公式ホームページ
環境省からの高病原性鳥インフルエンザに関する情報-環境省公式ホームページ
農林水産省からの鳥インフルエンザに関する情報-農林水産省公式ホームページ
農研機構からの高病原性鳥インフルエンザに関する情報-農研機構公式ホームページ

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