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思い出刻む木造駅舎 浦幌・上厚内駅3月廃止見通し

1953年に建築された木造の上厚内駅

全国にファンも
 【浦幌】来年3月で廃止の見通しとなった浦幌町上厚内にあるJR上厚内駅。築63年の木造平屋建ての駅舎は全国の鉄道ファンに人気だった。一方で、駅周辺の集落の衰退とともに、生活者による利用はほとんどなくなっていた。

 浦幌町立博物館などによると、1910年に上厚内信号所が設置された後、ちょうど90年前の26年に駅に。現駅舎は53年設置で、国鉄時代から現存する木造駅舎として知られている。

 同駅のファンは多く、駅舎内に置かれた「旅びとメッセンジャー・メモリーノート」には、「古い駅舎が昔の形のまま残っているのは本当に貴重」「今年も来ることができた」などの声が。鉄道だけでなく、バイクや自転車、徒歩で旅する人が立ち寄っている。

 一方、最盛期には60世帯が住んでいた上厚内地区には現在、3世帯しかいない。駅の清掃や除雪などの管理をJRから10年以上委託されている同地区の山本サツコさん(73)は「昔は車がなかったから汽車で浦幌まで病院や買い物にも行った」と振り返る。

 山本さんの孫で、同町市街地に住む松田泰明さん(21)は「池田駅から(祖母の家がある)上厚内までご飯を食べに乗った」と池田高校に通った当時の思い出を語る。同じく孫の帯広に住む松田知浩さん(25)は「掃除や雪かきを手伝いに駅に行き、ノートを見てすごい駅なんだなと思っていた。駅のライトが明るく、クワガタを捕りに行った」と懐かしむ。

 駅は3年ほど前に扉などを修理したばかりだった。思い出が詰まった駅だが、山本さんは「乗る人がいないから、いつかは廃止になるとは思っていた」と静かに受け止めている。(関坂典生)

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