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十勝勢メダルラッシュ 5種目中4種目で金 全中スケート

男子500を制した岩佐理央(札内3年)

<スピード>

男子1500は堀川、山口、久保で表彰台独占
 【長野】最終日は3日、長野市のエムウエーブなどで2競技を行った。スピードは午前に男子3000メートル決勝を行い、堀川大地(大樹3年)が4分5秒61で2位、5000メートル覇者の戸水謙一郎(中札内同)が4分10秒88で5位となった。優勝は吉永一貴(愛知・名経大市邨3年)。女子3000メートルの小野寺留衣(士幌中央2年)は4分38秒74で7位に終わった。優勝の神長汐音(長野・南牧3年)は1500メートルとの2冠を達成した。

 2日の第3日は男女5種目の決勝を行い、午前の5000メートル男子初制覇の戸水謙一郎(中札内3年)と合わせて4種目を十勝勢が制した。男子1500メートルでは堀川大地(大樹同)が1分55秒31で初制覇、山口遼(札内同)、久保向希(札内東同)がそれぞれ2、3位となり十勝勢が表彰台を独占した。同500メートルは岩佐理央(札内同)が2本目に唯一38秒を切る37秒882をたたき出し、2本ともトップタイムの完全優勝。3位には椿要二(緑南同)が食い込んだ。女子500メートルは長崎叶和子(緑南2年)が、2本目に全体でトップタイムとなる41秒411の自己ベストをマークし、1本目3位からの逆転優勝を果たした。同1500メートルの十勝勢は小野寺留衣(士幌中央同)の5位が最高。優勝は大会記録に0秒89差に迫る2分5秒81を出した神長汐音(長野・南牧3年)。道大会覇者の吉村優那(千歳青葉3年)は2位だった。

【男子3000メートル決勝】堀川大地(大樹)は1500メートル優勝に続く2冠は逃したものの、積極的なレース運びで2位となる

2強抜き去り頂点に
腰痛から復活「自信になった」

 あっと驚く快走劇だった。道大会2強の山口遼と久保向希の間に入り込むどころか、一気に抜き去って優勝をもぎ取った。「最後は体力が残っていなかったが気持ちで食らいついていけた」。

 大舞台で初出場の種目で、腰痛による1年間のブランクから復活を飾った。

 今月の道大会長距離2種目で3位となったが、直後の全国大会へのエントリーで5000メートルを中距離の1500メートルにくら替えした。所属チームのクライマックス・宮本唯信コーチが「長距離にこだわりがあっただろうが、もともとスプリント力があるし順位を狙うには1500の方がいい」と判断した。堀川も「5000の雪辱をしたいと思ったが、(ブランクの分)スタミナが落ちていると思っていたので『1500でやってやる』と思った」と気持ちを切り替えた。

 昨年11月に猛練習した疲れが取れずスランプに陥った。1月の道大会もまだ万全ではなかったが、今回は宮本コーチの指導でリフレッシュしながら調整した。

 予選は2位。最終組で滑った決勝は体力が残っていなかったが、最後のバックストレートで同走の久保を懸命に追った。大樹から帯広の森まで車を運転してくれるなどしてくれた祖母・典子さんの顔が浮かんだ。先に終わった5000メートルで弟・翼(2年)が6位入賞をしたことも大きな力となった。最後のコーナーでとうとう久保を捉えた。

 敗れた久保と山口がそろって「ここまで来るとは」と舌を巻いたほどの粘りの滑り。秘めた可能性が花開いた堀川は「自信になった」と得意種目に1500を加えた。

 最終日の3000メートルは、世界ショートトラックジュニア選手権日本代表の吉永一貴(愛知・名経大市邨3年)に最終周回で逆転されて準優勝、2冠を逃した。しかし宮本コーチは「立派な成績」とたたえた。今回の快進撃を心の支えにし、高卒1年目で日本の長距離をけん引するウィリアムソン師円(日本電産サンキョー)のような選手を目指す。

女子500メートルで優勝を決め、表彰台の上で歓喜する長崎叶和子

逆転優勝「出し切れた」 女子500長崎
 口元を手で覆うと同時にうれし涙があふれた。

 女子500メートルは、長崎叶和子が2本目にトップタイムをマークし、1本目3位からの逆転優勝。同種目の2年生制覇は、2006年の神谷衣理那(当時帯二、07年も優勝)以来、9年ぶりの偉業だ。

 1本目が終わり、1位の熊谷萌(岩手・滝沢二2年)から3位長崎まで0・04秒差に3人がひしめく混戦。しかし長崎は2本目の滑走を終え満足していた。100メートルのラップタイムが自己最速の11秒23、そして目標としていた41秒台に突入する41秒411のタイムに「実力は出し切れた。頑張ったな」

 この時点でトップだったが、続く最終組には1回目2位で道大会覇者の桑原僚己(湧別湖陵3年)と熊谷。ところが2人の上がりのラップタイムが伸びない。「2人は速いんだろうなと思って見ていたので、(記録掲示板は)ホントかなと思った」

 大会の10日前に体調を崩し、熱と6度の嘔吐(おうと)に見舞われた。昨年のこの大会は、緊張から力を出し切れなかった。道大会後は「もうあんな思いはしたくない」と過呼吸になるほど体を追い込んできたのに、大事な時期に練習できないもどかしさ。しかし、初めて休んだ学校も練習にも1日で復帰。2キロ減った体重も、しっかり朝食を食べ続けて戻した。何事にもベストを尽くす姿勢が今回の結果を導き出した。

 最終日には、道大会で優勝した1000メートルが残っているが、2冠は特に意識はしない。「自分は気持ちでいく方。自己ベストを出したい」と納得のいく滑りを目指すだけだ。

未知のスピード対応 完全優勝の岩佐
唯一の37秒台 男子500

 岩佐理央は文句なしの完全優勝だった。男子500メートルは過去34大会中、北海道勢が延べ29人優勝、このうち十勝勢は最多の13人が優勝しているお家芸種目。2本目に37秒台に初突入しての優勝に、派手なガッツポーズが飛び出した。

 未知のスピードにうまく対応できた。事前に宮本唯信コーチに最終コーナーへのアプローチを相談。「膨らんでもいいから怖がらず、足を止めずに(コーナーから)出てこい」の言葉をもらって臨んだ。バックストレートは「もう終わりなのか」と思うほどあっという間に感じたが、落ち着いてコーナーに突入できた。

 道大会500メートルで優勝したものの、激しい降雪による悪コンディションや、「小学生時代は雲の上の存在」だったというチームメートの椿要二(緑南3年)に靴ひもが切れるアクシデントがあったことで喜びも半分だった。今回は「タイムは(いい)リンクのおかげだったが、勝負では勝てたかなという印象。うれしい」。いつもの冷静な表情がぱっと明るくなった。

無念の準V焦りあった 男子1500・山口
 無念の準Vだった。得意種目の1500メートルで初の全国制覇を目指していた山口遼は「どこかに焦りがあった。(堀川)大地の1分55秒台を見たときは落ち込んだ。2位でもうれしいとは思わない」

 道大会の同種目覇者。この日午前の5000メートルで、同じ十勝中体連スピードクラブの戸水謙一郎(中札内3年)が優勝。「俺も」と意気込んだ。レース後半の強さが持ち味だが、今回は前半から攻めていった。

 11組の山口は、最終12組の久保向希、堀川とカルテット滑走。先に山口がゴールし暫定1位の順位がついたが、すぐに堀川が逆転のゴール。わずか15秒間ほどの首位で夢破れた。

「3人で上3つ」目標達成し満足 男子1500・久保
 男子1500メートル3位の久保向希は「(堀川、山口との)十勝3人で上3つを目指そうと言っていたので満足」と話しつつ、堀川の優勝をたたえた。

 堀川とは同じチームでしのぎを削る仲だが、最終組でくしくも同走となった。本来は持ち前のスピードで前半から飛ばし、後半に持ちこたえるレース展開を得意とするが、長距離選手で後半に強い堀川を意識しすぎて「力をためようようと思った。欲を持ってしまった」とスピードを少し抑えてのスタート。しかし結果的に後半の余力にはつながらず堀川に逆転を許した。

 ただ道大会で優勝、昨年のこの大会で2位に入った1000メートルが残っている。「あす(3日)がぼくの本職」と気合を入れ直した。

頂点逃すも最速ラップ 男子500・椿
 男子500メートルで優優勝候補の一人だった椿要二(緑南3年)は3位に終わったものの、2本とも100メートルのラップタイムで10秒台前半の出場者中最速をマークし、存在感を示した。

 1本目に首位の岩佐理央に約0・5秒の大差をつけられた。2本目は「それで焦ってしまったのかもしれない。100メートルは9秒台を出すつもりで行ったのだが」と肩を落とした。

 練習不足を反省し「大会への意識も(岩佐に)負けていた」。得意の500メートルは全国で納得のいかないまま終わったが、「結果は受け止めるしかない。いい思い出を残せなかったが高校で雪辱したい」と誓った。

積極レースもラップ伸びず 女子1500 5位の小野寺
 「力がなかったのかな」。女子1500メートルで2年生の小野寺留衣が十勝勢最高の5位に入ったが、思うようなレース展開ができなかった。先に滑ったトップ3が2分7秒台以内。小野寺はこのタイムを目標に積極的なレース展開をしたが、1周ごとに2秒ほどラップタイムを落とした。

 道大会で2位となった3000メートルが最終日に残っている。「気持ちを切り替える。あすこそ」と口元を引き締めた。




<フィギュア>

 フィギュアは女子ショートプログラム(SP)のBグループが終了し、前日のAグループ8位だった石田小雪(帯南町3年)は全体の15位となり、上位18人による最終日3日のフリーに駒を進めた。林羅々(帯四同)は32位だった。男子SPに唯一の道代表として出場した緑川涼人(帯二同)は17位でフリー進出を決めた。

(2日・1位と関係分)
【男子】
◇ショートプログラム
(1)山本草太(愛知・東港)77・50
(17)緑川諒人(帯二)29・40

【女子】
◇ショートプログラム
▽Bグループ
(1)鈴木沙弥(愛知・東港)52・09

◇総合
(1)樋口新葉(東京・日本橋女学館)62・12
(15)石田小雪(帯南町)45・50
(32)林羅々(帯四)39・70


◆第35回全国中学校スケート大会について
各スケート競技結果-全国中学校スケート大会長野市実行委員会事務局公式ホームページ

関連写真

  • 長崎叶和子(緑南2年)

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  • 椿要二(緑南3年)

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  • 【男子1500メートル決勝】ラスト1周で最速のラップを記録し、逆転優勝した堀川大地(大樹)

    【男子1500メートル決勝】ラスト1周で最速のラップを記録し、逆転優勝した堀川大地(大樹)

  • 男子500メートルで優勝した岩佐理央(札内)はレース後、ガッツポーズで喜ぶ

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  • 女子500メートルの表彰台の頂上で拳を挙げ笑顔を見せる長崎叶和子

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  • 男子1500メートルの表彰台で上位を独占した十勝勢。そろってガッツポーズする2位の山口遼、優勝の堀川大地、3位の久保向希(左から)

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  • 十男子500メートルで優勝した岩佐理央(札内)は、応援する仲間たちにガッツポーズでこたえる

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