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「宇宙太陽光」利用し発電 20日予定 JAXA大樹で伝送実験

【大樹】宇宙航空研究開発機構(JAXA)は大樹町多目的航空公園で、宇宙空間の巨大集光鏡で集めた太陽光エネルギーをマイクロ波で地上に送り、電力を得る「宇宙太陽光利用システム」のマイクロ波地上エネルギー伝送実験を行う。20日ごろから数日間実施の予定。「エネルギー供給と環境保全の両面から見て非常に意義のある計画。大きな第一歩を踏み出す実験」(JAXA)と位置付け、成功に向け入念に準備を進めている。(北雅貴)

同システムは、石油など二酸化炭素が発生する化石燃料と違い地球温暖化を回避できるクリーンエネルギーで、かつ安定的・大量に供給できるとして、JAXAが研究開発に着手。2030年ごろの実用化を目指す。
地上約3万6000キロの静止軌道上で、巨大な鏡の付いた装置を使って太陽光を収集。マイクロ波やレーザーに変換して地上に伝送し、電力として使用する。実験監督者である高度ミッション研究センターの森雅裕センター長は「原子力発電を補完するエネルギー源」としている。
大樹での実験は、直径2・4メートルの送電アンテナから50メートル離れた受信アンテナに5キロワットのマイクロ波を送り、1キロワットの電力に変換、接続した暖房用ヒーターを点灯させる。エネルギーとして利用できるかを確認する狙い。4日から職員ら十数人が現地に入り、機器の組み立てや計測装置のチェックを行っている。森センター長は「得られるデータを分析し、来年度以降も継続して大樹町で実験を行いたい」としている。
JAXAは大樹町を同システム開発基地の候補地として、建設構想を進めている。

【大樹】JAXAによる宇宙エネルギー開発基地建設構想の候補地となっている大樹町では、今回のマイクロ波地上エネルギー伝送実験の実施に対し「(基地実現に向けた)具体的スタート」と期待の声が上がっている。
大樹では、航空宇宙産業の誘致を目指して多目的航空公園を開設した1995年以降、さまざまな実験を受け入れてきた。今回、実験場所として大樹を選んだ理由について、JAXAの森雅裕高度ミッション研究センター長は「JAXAの飛行船格納庫があり、過去の実績もあることのほか、広大な敷地や地元の協力体制」を挙げる。
JAXAは「予算などの関係もあり、実験と基地建設とは切り離して考えている」と慎重な姿勢だが、地元では基地実現へ期待が高まる。
伏見悦夫町長は「基地構想や宇宙太陽光を利用するシステムづくりは息の長い計画だが、着実に進んでいると感じる。日本は資源のない国で、エネルギーの安定供給は大切だ。環境面では地球規模のメリットもある。実現に向け、町としてできることを支援していきたい」と話している。
(北雅貴)

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