短編映画「馬橇の花嫁」がクランクアップ 幕別の逢坂監督撮影
【大樹】幕別町出身の映像作家逢坂芳郎さん(43)が脚本・監督を務め、昭和30年代の十勝の農村を舞台とした短編映画「馬橇(そり)の花嫁」の撮影が3日、終了した。同日は雪が降り積もった大樹町内で重要シーンの撮影が行われた。今後は編集作業などを行い、今年の初夏に十勝管内で完成披露試写会を開く予定。(北村里沙)
同作品は十勝の馬そりを使った結婚式の風習をモチーフとした。きっかけは帯広市の写真家荘田喜與志さん(故人)が撮影した、馬そりに乗って嫁入りする女性を写した一枚の写真。逢坂さんは、晴れやかな祝儀の様子を映像で後世に残したいと考え、オリジナルの脚本を書いた。クラウドファンディングなどを活用して資金を集めて制作にこぎつけ、昨年9月に撮影開始した。
2、3日は同町内で主人公の農家の長女・戸山一子役の東盛あいかさん(26)=沖縄=が嫁ぐシーンが撮影された。
3日は集落の青年団らが馬そりが通る道を整備するシーン。JA帯広かわにし組合長の有塚利宣さん(92)への聞き取りを基に、札幌市在住の芸人アップダウンの2人や、帯広市の会社員、大樹町の地域おこし協力隊員ら8人が演じた。
嫁ぐシーンの撮影では、60年ほど前の実物の馬そりが使われた。白無垢(むく)姿の東盛さん、母親役の磯貝圭子さん(55)=札幌=、父親役の八下田智生さん(53)=上士幌=、仲人役の中村香保留さん(74)=帯広=が乗り、ドローンも使用して撮影が行われた。東盛さんは「馬そりに乗って、ここでしか味わえない真っ白な世界を見られた。すてきな絵になっていると思う」と手応えを語った。
撮影には地元関係者が協力。直前に雪が降ったため、大樹町の職員なども参加して、丸1日かけて撮影場所の除雪などを行った。撮影を振り返って逢坂さんは「自然と動物が相手だったので大変だったが、皆で協力したからうまくいった」と話した。