人の気配「オープンマインドをもつ男」
これまでの人生、言うまでもなくたくさんの出会いがあった。音楽をなりわいにし、全国を飛びまわっているため、その数は多い方かもしれない。それはとても幸せなことであり、すぐに思い浮かぶ顔がいくつもある。その中でも、トップクラスに謎な男について書こうと思う。
謎というのは素性が分からないということではなく、「ぴあ」で働く高橋一さん、その人である。チケット購入で「チケットぴあ」を利用している人も多いのではないだろうか。僕もその一人であり、もちろんチケットを販売する側としてもお世話になっている。そして、彼とはとても仲が良い。
ただ、仕事の連絡をするのはマネジャーを通すことがほとんどなので、僕が連絡をするのは友人としてだ。自宅に泊まらせてもらったこともある。2人でキャンプに行ったこともある。いつからそんなに仲良くなったのか、それがまずひとつ目の謎。
そして、とにかく現場で顔を合わせる確率が高い。僕の公演だけではなく、多くのイベントに顔を出しているようだ。仕事はいつしているのか。ふたつ目にして最大の謎である。そして、彼はお酒を飲まないが、打ち上げに必ずいる。
ここからは推測になるが、彼は人との会話を次の仕事に変換できる立場とスキルを持ち合わせているのだろう。何気ない時間にもヒントは潜んでいて、自分次第ではそれを仕事につなげることができる。それが打算的ではないことも重要である。立場もスキルも突然は手に入らない。努力はもちろんだが、オープンなマインドがいつしかそれを呼び込むようになったのではないか。すてきなことだ。
ふと『Hello』の歌詞を思い出した。
<Keishi Tanaka(タナカ・ケイシ)>
ミュージシャン。1982年大樹町生まれ。大樹小、大樹中、帯広柏葉高卒。一昨年のV6への楽曲提供が話題。ニューアルバム『Chase After』をリリースし、3月25日の大阪公演、同29日の東京公演の準備真っただ中。