シカとの衝突気をつけて 増加する事故 帯広で車大破の事例も
ここ数年、シカが関係する交通事故が全道各地で大幅な増加傾向にある。道警によると、2021年は4009件と5年連続で過去最多を更新。統計を開始した04年の3・4倍となった。帯広署によると、十勝管内でも同年は323件と過去5年で最多。今年も10月末現在で268件と最多ペースで発生しており、関係機関は注意を呼び掛けている。(山田夏航)
全道的にはシカが原因とみられる死亡事故も発生している。10月26日には釧路管内標茶町で、シカと接触したワゴン車が対向車線にはみ出してトラックと衝突、男性3人が死傷した。また、11月27日には帯広市南町南9線の栄通で、30代男性の軽乗用車が林から飛び出してきたシカと衝突。幸い男性にけがはなかったものの、車の右フロントが大破、シカは即死した。
同署によると、21年の十勝管内のシカが関係する交通事故は足寄町が最多の50件。広尾町が40件、浦幌町が28件と続く。死亡事故こそなかったが、桐山知彦交通1課長は「管内でも増加傾向にある。早めのライト点灯を意識するなどし、十分に気を付けて」とする。
道エゾシカ対策係によると、道内のエゾシカ推定生息数は、11年の約77万頭をピークに18年までは減少していたが、19年から再び増加傾向となり、21年は約69万頭で前年比2万頭増加した。同係は「18年11月に恵庭市の国有林で起きたハンターによる誤射事故によって、その年度は一般狩猟者が国有林への立ち入りを禁じられた。その後、新型コロナで道外のハンターが入って来られない状況も続いた」と、増加要因を推測。「10~12月は繁殖期などの影響もあって特に動きが活発」とし、事故に注意を呼び掛ける。
道開発局帯広開発建設部道路計画課は、ホームページ上に道東方面の「エゾシカ衝突事故マップ」や衝突防止6原則を掲載している。大江祐一道路計画課長は「1頭いたら、付近には複数いると警戒してほしい。また、シカは凍った路面に弱く、足を滑らせることがある。早めのブレーキを心掛けて」と話している。