「舞いあがれ!」効果に期待 ロケ協力の航空大、帯広空港
放送中のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」は現在、女優の福原遥さん演じるヒロイン岩倉舞らが「航空学校帯広校」でフライト訓練に励む様子が描かれ、十勝の雄大な景色やなじみのある地名が登場している。帯広ロケに協力した関係者は放送を楽しみに見守り、十勝の発信や航空業界への関心の高まりに期待を寄せている。(澤村真理子、松岡秀宜)
プロ根性に感心
帯広ロケは8月、航空大学校帯広分校や、とかち帯広空港で行われた。同分校の牧義弘分校長兼首席教官(59)は台本の読み合わせから立ち会い、専門用語の使い方やイントネーションも助言した。“鬼教官”役の吉川晃司さんからは、訓練時の教官の目線や立ち位置のほか、心情についても熱心に質問を受けた。
舞の同期を演じる山崎紘菜さんらに模擬飛行装置で操縦を指導した國立直弘実科教官(40)は「学生でも覚えるのが大変なのに、予習して手順を覚えていて、プロ根性を見せつけられた」と感心する。
在校生もエキストラとして出演し、中村光佑さん(25)=兵庫県出身=、大窪泰一さん(25)=沖縄県出身=はせりふもあった。大窪さんは「出演シーンを見た家族や親戚から連絡があり、地元の友達からは『パイロットの訓練って大変なんだね』とラインが来た」。中村さんは「撮影の合間に、福原さんに帯広のおいしい店などについて聞かれた」と笑顔を見せる。劇中で舞たちが使う場周経路マップは「メモ書きまで忠実に再現されていた」(大窪さん)と驚く。
帯広分校の在校生54人のうち女子学生はわずか2人。青山芽生さん(25)=神奈川県出身=は「ドラマを通じて、女性もパイロットを目指せると知ってもらえるきっかけになる」と歓迎。牧分校長は「この機会に十勝の方にも航空大に親しみを覚えてもらい、さらには応募者も増えてくれれば」と期待する。
運航の安全配慮
同空港を管理する北海道エアポート帯広空港事業所も撮影に協力。同事業所空港運用部運航情報課の菊地圭児リーダー(44)と斉藤洋法主幹(39)は「経験がないミッションだったが、航空機の安全に配慮し、十勝の魅力も発信できた」と話す。
「『なるべく近くで撮りたい』との要望に応え、旅客機の運航にも支障が出ないようにするため、綿密な調整を行った」(菊地さん)。分刻みのスケジュールの中でも「円滑な撮影」に全力を注ぎ、万一の退避訓練も行った。福原さんは十勝の自然に感動した様子で、吉川さんは消防車両に興味を持ち、撮影の合間に見学したという。
空港のシーンが「より素晴らしい仕上がり」となるように全面的に支えた菊地さんと斉藤さん。「とかち帯広空港や日高山脈と分かるシーンがたくさん登場すると思う。空港周辺の景観も楽しんでもらえれば」とPRする。