感謝の涙あふれる 南商クッキング部、敗者復活戦からの全国V
【東京】高校生を対象とした料理コンテスト「第11回ご当地! 絶品うまいもん甲子園」(一般社団法人全国食の甲子園協会主催)の決勝大会が27日、都内で開かれ、敗者復活で挑んだ帯広南商業高校クッキング部が優勝を果たした。同校の優勝は道内勢として初制覇した2015年以来2度目。(澤村真理子)
敗者復活からの見事な“逆転劇”で全国323チームの頂点に立った。同校の吉川綾乃さん(17)、松木天俊さん(18)、下地真央さん(18)の3年生トリオは、予選の北海道・東北エリア選抜大会(8月、仙台市)で1位を逃すも、インターネット投票による敗者復活(1チーム)に望みをかけた。イベントでにぎわう帯広競馬場での声掛けなど精力的なPR活動が実を結び、全国切符をつかんだ。
勝負メニュー「わやうめぇ蝦夷にぎ2」は、炊き込みご飯にレバカツやナガイモの小豆みそ和(あ)え、枝豆のタルタルソースなどを挟んだ「おにぎらず(握らないおにぎり)」風の料理。
強敵が集う決勝大会に向けて磨きをかけ、お茶漬けで“味変”も楽しめるようにした。夜遅くまで学校に残り、プレゼンテーションの練習も重ねた。今月には食品スーパー・福原が同メニューを1日限定で販売するなど地域からの温かな応援も力に変えた。
決勝大会には8チームが出場。調理とプレゼン(映像)、1分のPRタイムで自慢の一品を紹介した。同校は一連の活動を通して知った肥料価格高騰による生産者の苦労や食品ロスの問題にも触れ、「大会で活躍し、生産に関わる全ての人の力になりたい」と思いを伝えた。司会を務めたタレントの石塚英彦さんは「自分たちのことだけでなく、十勝全体を盛り上げようと(している)。素晴らしい」と感心していた。
優勝チームとして名前が呼ばれた瞬間、3人の目からは熱い涙があふれた。熱戦を終えた3人は「いろんな所に足を運んでいろんな人と出会い、アイデアをもらった。敗者復活としての出場だったからこそ優勝できたと思う」(松木さん)と、それぞれ周囲への感謝を口にして喜びをかみしめた。
敗者復活から決勝大会まで、卒業後の進路に向けて多忙な3年生にとって長い道のりだった。顧問の松原明香教諭は「みんなが頑張って、結果もついてきて良かった」とたたえる。
大会では、食の甲子園協会の藤田志穂会長、タレントの伊藤千晃さんら8人が審査員を務めた。