走りきった東京五輪、「幸せな締めくくり」 MTBの山本幸平さん
東京五輪の自転車マウンテンバイク(MTB)競技に出場した山本幸平さん(36)=幕別町出身、ドリームシーカーレーシングチーム=が7日、十勝毎日新聞社を訪れた。競技人生の集大成として臨んだ東京五輪は29位に終わったが、「家族を含め応援してくれた人たちの前で走り切ることができた。幸せな締めくくり」と笑顔で語った。今後は自転車競技の普及に取り組む考えで、十勝については「イベントなどを通じ、自転車に乗ったり、触れたりできる機会をつくりたい。何か恩返しができれば」と述べた。
山本さんは東京を含め五輪4大会に出場。2008年の北京は46位、12年のロンドンは27位、リオデジャネイロ五輪は21位と奮闘した。ワールドカップの最高成績は15位、世界ランキングは最高で11位。日本選手権は12度、アジア選手権は10度優勝した。
山本さんは日本選手団の公式スーツに身を包んで来社。1年延期された東京五輪では静岡の選手村に入村できず、開会・閉会式はテレビで見守った。「海外から入国した隔離期間の選手が多すぎて、日本チームの入村するスペースがなかった。一般の旅館に泊まり、わざわざ選手村に夕飯を食べに行った」と述べ、異例づくめの今五輪を振り返った。
山本さんが出場した競技は、7月26日に伊豆MTBコースで実施。コース幅が狭く、追い抜く場所も少ないため、前方のスタートが圧倒的に有利とされたが、山本さんは最後列の4列目に。「(順番は)予想していたので冷静だった。気持ちを前面に出して走り切った。すごく楽しかった」と充実した表情で語った。
昨年5月以来、久しぶりの十勝。家族と過ごす傍ら、支援者へのあいさつ回りや、帯広市内のMTBコースを視察した。11日には自宅のある長野県松本市に戻る。
今後は、昨年立ち上げた自らが個人事業主を務める「ヤマモトアスリートファーム」の事業を本格化させる。「スポーツ」「食」「楽しむ空間」を柱に自転車競技の普及、若手選手の育成・強化、トライアスロンの個人コーチ、飲食提供、オンライン販売などを展開する予定だ。
「これまでの経験を生かし、子どもや保護者らにモチベーションの保ち方などをオンラインでの講演会で伝えたい」と強調。世界の第一線からは退くが、「日本選手権や各種イベント、レースには出るつもり」と笑った。(北雅貴)
(詳報は後日掲載)