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「38歳でも夢かなう」 ばんえい十勝・新人騎手は元漁師 兵庫出身の林さん

「技術不足は自覚している。少しでもうまくなりたい」と話す林さん

 ばんえい競馬で8年ぶりに新人騎手が誕生する。兵庫県出身の元漁師林康文さん(38)。帯広競馬場の厩務(きゅうむ)員として2年働き、今月、地方競馬全国協会の騎手免許試験に過去最高齢で合格した。「まだまだ技術不足。馬からも人からも信頼される騎手になりたい」と意気込む。

 「100メートル走るだけで息が切れる。3年前までは体力に自信もあったけど」。年齢面を心配する周囲の声もある中、受験者6人のうち唯一合格を果たした。「年齢は正直、プラスではない。けど、全く違うフィールドからの挑戦で、38歳でも夢がかなうとファンに知ってもらいたい」

 京都の大学を中退し、鳥取県で15年間、松葉ガニの漁師として働いた。だが体力に衰えを感じ、たまたまインターネットで見つけた浦幌町の大根農家で2017年6月から働き始めた。

 もともと競馬が好きだった林さんだが、ばんえい競馬は「決まったコースを走るだけ」と興味は薄く、有名馬の名前を知っているだけだった。ある日、馬券を買うために訪れた帯広競馬場で、場内に乗馬サークルがあることを知り、乗馬を始めた。ばんえい競馬も見るようになり、「臨場感があり、白熱したレースに魅了された」という。

 「まるで導かれるようだった」。厩務員になるには年齢制限がなく、資格も要らない。同年10月に、小林長吉調教師の厩舎に入った。午前3時に調教が始まる厩務員生活も「馬が僕のことを待っている」と思うとうれしく、苦ではなかった。小林調教師から「目標を持て」と言われ、抱いた騎手の夢は大きく膨らんでいった。

 騎手デビューは12月14日以降。まだ日にちも、乗る馬も決まっていないが、「レース場からどんな景色が見えるのか楽しみ。まずは一つ勝ちたい」。同1日午後3時15分ごろから帯広競馬場でファンを前にお披露目式が開かれ、正式にばんえいの仲間入りを果たす。
(高田晃太郎)

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