ジャガイモを種子から栽培 帯畜大大学院の梨木さんが米国で研究へ
帯広畜産大大学院修士課程1年の梨木聡人(あきと)さん(23)=神戸市出身=は4月から、米国ウィスコンシン大学に留学し、ジャガイモ育種について研究する。現在の種イモ方式ではなく、ジャガイモを種子から栽培する方法につながる研究を進める。梨木さんは「農家の負担が少なく、高収量が得られる農作物品種を開発し、世界で活躍する育種家になりたい」と意欲を見せている。
育種は生物の遺伝的性質を利用して品種改良するもの。梨木さんによると、現在はジャガイモから取れる種子をまいても遺伝子の関係で品質が安定せず、農家は種イモから栽培している。ただ、種イモを増殖させて畑に植えるまでには5年以上かかり、選別などにも労力を要することから、ジャガイモの作付面積は減少傾向にあるという。
ナスやニンジンなどと同様にジャガイモを種から栽培できるようになれば、労力やコストの大幅軽減が期待できる。ウィスコンシン大は、世界中のジャガイモの遺伝資源を保管し、種子から栽培するための研究も進んでいる。農家のバイトを経験し、農家の負担を減らしたいと考える梨木さんは、育種家として遺伝子レベルから課題を解決できる方策を探る。
また、米国の育種に関する先進知識や技術を学び、地球温暖化や環境変動に適応する品種開発も目指す。ジャガイモ以外の作物の品種開発にも意欲的で、多国籍社会の米国で世界の需要を調べ、どのように育種が対応できるかを把握し、今後の研究や日本の育種戦略に役立てる考えだ。
留学期間は来年2月末まで。留学には官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」を活用。梨木さんは10期生で、全国の1428人の応募から432人が選ばれた。(池谷智仁)