万葉集題材に合唱曲 音更の青山さん作曲
【音更】音更町の青山昌弘さん(70)は、現存する日本最古の歌集「万葉集」に収録された大伴家持(おおともの・やかもち)の歌を題材に、合唱曲を作曲した。富山県内にある祖父母の出身地の風景を詠んだ5首を、組歌で表現した。7日に富山県で初披露される。
青山さんの祖父母は、富山県高岡市と合併した旧福岡町江尻村と矢部村の出身。北海道開拓のため、1897年に音更に入植した。青山さんは音更ゆかりの作曲家伊福部昭の弟子である作曲家松村禎三氏に師事し、本名や江尻栄の筆名で作曲活動している。
8世紀末ごろに完成した万葉集は、短歌や長歌など約4500首を収録している。家持の作品は全体の1割強を占める約470首。そのうち223首に高岡市周辺の風景が詠まれていることを見つけた青山さんは、「1300年前の風景が記録され、驚きと感動を覚えた。曲にして、先祖ゆかりの地域の歴史を残したい」と考えた。
家持の作品から「朝床に 聞けば遙けし 射水川 朝漕ぎしつつ 唱ふ舟人」「雄神川 紅にほふ 處女(おとめ)らし あしつき取ると 瀬に立たすらし」など5首を選び、混声合唱組歌「越中万葉」を制作。20分を超える大作で、雄大な川の流れを強調するなど、歌のイメージに合わせ情緒豊かな作品に仕上げた。
2014年に完成し、高岡市の合唱団「音楽室」に公演を打診していた。今年は家持生誕1300年に当たり、同合唱団は高岡市で7日開くコンサートで初演することにした。青山さんは「北陸から十勝への移住者は多い。十勝と高岡のつながりを若い人にも知ってほしい。今後も、郷土の歴史をテーマに作曲を続けたい」と話す。
越中万葉は10日以降、青山さんのブログ「秋津国の海山彦のブログ」で公開されて聴くことが出来る予定。(池谷智仁)