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被爆者DVD活用進まず あす71年目の広島原爆の日

中村さんの被爆体験をまとめた市制作のDVD。貴重な資料だが、後世にどう伝えていくかが課題となる

 広島に原子爆弾が投下され、6日で71年。5月にはオバマ大統領が米国現職大統領として初めて広島を訪問して注目を集めたが、十勝では被爆者団体の解散や語り部の死去など、体験をどう後世に伝えるかが課題に。帯広市は被爆者の証言DVDを制作したが、貸し出し利用は5年間で1件にとどまっている。

 十勝地区原爆被害者団体協議会は会員の高齢化で、2013年に解散。同会で語り部として活動した元高校教師の中村悦雄さんは14年に死去した。関係者によると、他に十勝で被爆体験を語り継ぐ人はいない。

 市と市核兵器廃絶平和都市宣言推進実行委員会は11年、旧制中学2年時に被爆した中村さんの証言をまとめたDVDを制作。ガラスの破片を浴びた人、「水をください」と懇願する声、多くの死者を野辺送りした煙など、生々しい証言を収録した。最後に中村さんは「恨みでもって解決はできない。誰もが苦しまない世界でありたいのが被爆者共通の願い」と訴えている。

 DVDは100枚制作し、市内の小・中・高校、関係団体などに配布。無料で貸し出しもしているが、利用は14年の1件のみ。市民活動推進課は「戦争体験を伝えることは重要。さらにPRしたい」とする。

 「平和教育にDVDを活用する学校はあるが存在を知らない教員もいる」と、ある小学校校長は語る。中村さんと親交があり、勉強会などでDVDを活用する原水爆禁止帯広協議会元事務局長の竹腰三男さん(75)は「中村さんが語っている内容や表情から思いを察してほしい。気持ちを受け継ぎ、核兵器がない世界に向け運動を続けていきたい」と話す。

 DVDの問い合わせは同課(0155・65・4130)へ。(池谷智仁)

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