MVPに横浜F・マリノスの中丸 クラブユースサッカー閉幕
十勝を舞台に3日から行われてきたサッカー中学生世代のクラブ日本一を決める第30回日本クラブユース選手権(U-15)大会(日本サッカー協会、日本クラブユースサッカー連盟主催)は、12日に帯広の森陸上競技場で決勝が行われ、横浜F・マリノスジュニアユースの2年ぶりの優勝で幕を閉じた。同チームは大会中にも成長を続け、決勝では関東ユースリーグ1部で勝てていなかったFC東京U-15むさしを相手に3-0で快勝した。大会MVP(最優秀選手)には決勝でハットトリックを達成した同チームのFW中丸流佳(3年)、優秀選手賞にはコンサドーレ札幌U-15のMF中村友哉(同)らが選ばれた。(北雅貴、大谷健人、塩原真)
◆横浜F、大会中に成長「まさかの優勝」
横浜F・マリノスジュニアユースの坪倉進弥監督は「2年前のチームは勝って当たり前の雰囲気だったが、今回はまさかの優勝。驚いている」と振り返った。チームは、U-15日本代表の久保建英が加わったFC東京むさしに関東ユースリーグで1分け1敗。同リーグでは12チーム中3位につけているものの、最下位のジェフ市原・千葉U-15にも敗れるなど勝ち切れない部分もあった。
決勝は横浜のペースで試合が進んだ。今大会得点王となった棚橋尭士(3年)らが積極的に攻撃を仕掛け、前線からも積極的に相手にプレッシャーを掛けた。
前半38分に縦パスを受けたFW中丸がDFを1人かわして先制ゴール。中丸は後半開始早々の2分、4分とパス交換から相手を崩して立て続けに得点しハットトリックを達成した。中丸は決勝トーナメント準決勝までの4試合でノーゴールだったが、最高の舞台で大仕事をやってのけた。「自分の武器はスピード。DFラインの裏を狙うことは常にイメージしていた。走ったところにパスを出してくれたチームメートのおかげ」と喜んだ。
守備も前半15分から攻め込まれる時間帯がしばらく続いたが、全体をコンパクトに保ち、五十嵐大悟(同)と梶山かえで(同)の両センターバックらを中心にサイドからの攻撃をはね返した。
チームとして成長の鍵となったのは、同トーナメント2回戦のセレッソ大阪U-15戦。常に追う展開だったが、3-2と逆転して競り勝った。栗原秀輔主将(同)は「苦しかったが、ベンチからの声に励まされ、全員で戦って乗り越えた。一つのターニングポイントとなった」と語る。たくましくなった選手たちに閉会式後、胴上げされた坪倉監督は「子供たちのサッカーに向き合う純粋さが急成長につながった。指導者としても勉強になった」と笑顔を見せた。
◆11ゴールで得点王の横浜F・マリノスジュニアユース・棚橋尭士の話
大会前は調子が良くなかったが、自分がゴールを決めなければという思いで試合に臨んだ。得点だけではなく、決勝の2点目のアシストのようにうまく周りを使うよう意識していた。まだまだ得点できた。冬の高円宮杯に向けてもっと技術を磨きたい。そうすれば(U-15)日本代表にも呼ばれ続けると思う。
◆準優勝のFC東京U-15むさし・京増雅仁コーチの話
完敗だった。これが今の実力だと思う。自分たちの良さも出せず、いい形での攻撃につなげられなかった。マリノスのストロングポイントである縦に速い攻撃は警戒していたが、抑えることができなかった。
<個人賞>
▽MVP=中丸流佳(横浜F・マリノスジュニアユース)
▽MIP=竹浪良威(FC東京U-15むさし)
▽得点王=棚橋尭士(横浜F・マリノスジュニアユース)11点
▽優秀選手賞=中村友哉(コンサドーレ札幌U-15)坂本琉維(ベガルタ仙台ジュニアユース)井上惇(横浜FCジュニアユース)大内一生(同)ハン・ドンジュン(川崎フロンターレU-15)榊原彗悟、棚橋尭士、栗原秀輔、岩井龍翔司(以上横浜F・マリノスジュニアユース)杉井颯(柏レイソルU-15)山下諒時(FC古河)田中彰真、水多海斗、竹浪良威、久保建英(以上FC東京U-15むさし)小泉善人(長岡ジュニアユースFC)天野友心(清水エスパルスジュニアユース)監物拓歩(同)菅原由勢(名古屋グランパスU15)林祥太郎、瀬古歩夢、鈴木冬一、喜田陽(以上セレッソ大阪U-15)作田龍太郎(ヴィッセル神戸U-15)河合哲太、足立翼、奥野耕平、久保勇大(以上ガンバ大阪ジュニアユース)岡崎駿希、福岡慎平、服部航平(以上京都サンガF・C・U-15)藤原志龍(徳島ヴォルティスジュニアユース)
◆第30回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)について
・試合速報-日本クラブユースサッカー連盟大会速報サイト